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風磨side
Aと涼くんの雰囲気が
というより涼くんの様子が少しおかしい。
少し近くに行って会話が聞こえる距離に移動する。
貴「どうかした?」
涼「いや、、」
珍しく口籠もって
ただ、俯くわけでもなく
真っ直ぐにAを見据えて
ギリギリ聞き取れる声量で
涼「俺が、支えたかったな、って。」
一瞬、ドキリとした。
恐らく、ゴール直後のAのことを言っている。
きっと、俺がAを抱き留めた時に
別の場所から見てたんだろうな。
考えに考えて、精一杯振り絞った言葉だと思う。
そんなことまで言えるくらい、
度胸のある子なんだと感心したのも束の間、
貴「えっと、、支えたかったっていうのは」
出たよ、お得意の鈍感コメント。
涼「風磨先生、カッコよかったじゃないっすか。」
少し悔しそうに、羨ましそうに呟く涼くん。
こんなこと言わなきゃいけないのしんどすぎるだろ。
貴「あ、、なるほど。
いやいやいや、涼くんにそんなことさせられないよ、、」
これだけ想いが噛み合わないことってあるのかよ。
何故か俺が軽く憤りを覚えてしまう。
涼「でもっ、、」
貴「学生の頃から、風磨がいつも気付いてくれて
転んだりしなくて済んでるけど、、。
勝利も絶対やりたがらないし
そもそもそんなことになっちゃう私が悪いから。
本当に、心配してくれてありがとう涼くん。」
ほんと、、そういうとこだろ。
涼くんにめちゃくちゃ申し訳ないけど
こんなタイミングで自分の名前が出たことに
嬉しく思ってしまう自分もいて。
涼「....」
案の定、涼くんの表情は曇るし。
寂しそうな顔させたことに気づいて
Aも軽くパニクってるし。
流石に居た堪れない空気になったので
趣味の悪い立ち聞きもこの辺にしようと思う。
何となく、後ろから通る際に、
Aの背中を押したかった。
“気付け”とか“元気出せ”とか、
色々言いたいことを込めて
あとは、
何でも考えすぎるAに
ただ、軽くなって欲しかったから、だろうか。
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作者名:arry | 作成日時:2023年10月28日 0時