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貴女side
貴「本当に、涼くんは優しいね。ありがとう。」
笑顔を作ってそんな風に言ってしまえること。
悪い大人だと思う。
涼「....」
何か言い淀んだような表情で
こちらを不思議そうに見つめる。
貴「どうかした?」
涼「いや、、」
明らかに言いづらそうにするから
こちらも少し心配になる。
まっすぐこちらを見てくれる涼くんだけど
体育祭の盛り上がりに掻き消されそうなほど小さな声で
涼「俺が、支えたかったな、って。」
そう、弱々しく放った。
貴「えっと、、支えたかったっていうのは」
頭がその言葉を理解できなくて
涼「風磨先生、カッコよかったじゃないっすか。」
何故か少し悔しそうに、羨ましそうに呟く。
やっとピンと来た。
貴「あ、、なるほど。
いやいやいや、涼くんにそんなことさせられないよ、、」
考えただけで恥ずかしくて逃げ出したくなる。
涼「でもっ、、」
貴「学生の頃から、風磨が何故かいつも気付いてくれて
勝利も絶対やりたがらないし
そもそもそんなことになっちゃう私が悪いから。
本当に、心配してくれてありがとう涼くん。」
涼「....」
涼くんの表情が途端に曇って、
何故か寂しそうな顔でこちらを見つめるから
また、何か言ってしまったのかと思考を必死に働かせる。
涼くんに何度もこんな顔させてしまって
それに気付くことができないことが
先生として以前に、人間として何か間違ってる気がして。
その最中、後ろからポンッと背中を叩かれた気がして
振り返ろうとした時
風「お疲れ〜!!」
聴き馴染みのある声が妙なテンションで
横を素通りしていく。
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作者名:arry | 作成日時:2023年10月28日 0時