Impossible things【Kento.N,Fuma.K】9th (ページ17)

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貴女side

貴「ごめんなさい、健人さん」

その優しさに甘えたこと

気持ちを利用したこと

代替品のような感情を当てはめたこと

この人に対して、懺悔しなければいけない過去が

想い出の全てに蔓延っている。

健「A」

腕の中のその声が

涙声ながらも、いつもの優しさを帯びたものに変わる。

いや、

そうあろうと、取り繕ってる。

それまでに見たことのない泣き顔をあげるから

私が回していた手もぱっと解ける。

健「謝らないで」

そう言って、

私の背中に回してた手のひらが

そっと頬を包む。

その温もりが愛おしくて。

健「俺は、この1年、幸せだった。

幸せすぎた。」

うわずりそうになりながらも

真っ直ぐに立つ声。

けれどその中にはどこか幼さが混じっている。

健「何よりも大切なAのそばにいれて

触れ合って、沢山話して、一緒にいれて

全部、大切な時間だった。」

健「だから」

頬のぬくもりがふっと消える。

健「そんな風に否定しないで。」

三日月のように細めた目尻から

とめどなく溢れてくる涙と

無理に笑おうと上げた口角がその形を留めていなくて。

貴「...ぁっ」

痛い。

声にならない気持ちが漏れ出る。

いつだっただろう

似たような感情をぶつけられたことがあった。

あぁ、

聡くんにも

勝利にも

私は

また、同じ過ちを犯した。