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貴女side






自分の車に乗り込んで




ふうっ、と一息ついて





今からどこに行くべきか、考え込む。





けれど、





考えたところで行き着く答えは一つしかなくて






スマホを手に取ってメッセージを送信する。





夕日も殆ど落ちて、暗さが目立ち始めた。





ハンドルを握ってアクセルを踏む。






これから行く場所で





きっとどうしようもないことになることは想像できてる。






それなのにこれから先のことは全く想像できなくて





したくなくて。





ハンドルを握る手に嫌な汗をかいて





ずっと、震えが止まらない。





心臓が、嫌な音を立てている。






考えたことがなかったわけじゃない。





でも、気付かないふりして蓋をしてきた。






街灯や信号機の光が目立ってきた道路を走らせて





纏まりそうにない覚悟を





震える身体に覚え込ませる。





見慣れた建物が見えてきた。





この一年だけで、何回も来た場所。





知らなかった一面が、詰まってた。





階段を登って




右手に並ぶ、3番目の部屋。





これがきっと、最後になる。





震える心許ない指先に





僅かに振り絞れる力を込めて





その、呼び鈴を鳴らした。





健「いらっしゃい。」

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作者名:arry | 作成日時:2023年10月28日 0時

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