百二十九話 ページ37
なんとかみんなの危機には間に合ったみたいで。
鬼の頸は斬ることが出来た。
目の前でばたりと倒れる体と、横で膝をつき、上手く呼吸ができていない炭治郎。
ふとギュル、と音がしたかと思うと全体に向かって殺気を向けていた。
宇髄さんが呼びかけている。
炭治郎、まさか動けないのか…！
『鋼の呼吸 守ノ型━━━鋼鉄壁』
修行のおかげで刀を構えなくても大丈夫なようになったおかげなのか、炭治郎を庇うことが出来る。
珍しく毒が回ったのか、吐血してしまう。
意識が遠くなっていく。
いや、ダメだ！今、意識を失ったら守れなくなってしまう。
なんとか呼吸を維持したまま炭治郎を庇うように突き飛ばす。
そのまま私は背中に攻撃を受けた。
ただでさえ出血が多かったのに、ここまで斬られたら…
私は地面にたたきつけられて意識を落とした。
…また、夢を見ているようだった。
誰か知らない人の声がする。
《刀という自覚が出てきたのならば》
《決して折れるな》
《叩いて叩いて純粋な鋼となりて》
《主を、守れ》
ああ今度こそちゃんと分かる。
私の刀よ、わかっている。
主を、守る。
息が出来なくなって、血を吐き出す。
それで咳き込んでしまい、意識が浮上してくる。
あれ、そう、そういえば、鬼の攻撃を…。
起き上がろうとすると、視界がグラグラと揺れて上手く立てなくなっていた。
私の体は血塗れだ。
何かあるかもと、感覚を研ぎ済ませようとするも、何も感じ取れない。
酷い負傷かもしれない。
炭｢A！｣
炭治郎が禰豆子ちゃんに背負われてこちらにやってきた。
炭｢出血が酷い、大丈夫か？｣
禰｢むー！｣
禰豆子ちゃんが私に触れようとする。
それはダメだ、貴女まで傷つけたくない。
ずるっ、と後ろに下がるも禰豆子ちゃんはそのまま私に触れた。
すると身体が炎に包まれる。
あたたかい炎だけれど、それよりも禰豆子ちゃんが心配で起き上がる。
『…はやく、手を……』
よく見ると禰豆子ちゃんは傷口に触れているのに特に何もなかった。
溶けもしないし腐りもしない。
普通に私に触れている。
『大丈夫、なの？』
禰｢むー！｣
驚いた、本当に驚いて。
ずっとずっと怖かったのにこんな簡単に触れられて。
少し涙が流れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エアー | 作成日時：2020年5月22日 14時
