百二十七話 ページ35
『私より優れているのならば!』
水を纏った刀を鉄渋に向ける。
『私と、私の刀がお前を越すまで!』
地面を踏み込み、鉄渋へと向かう。
この呼吸を使い始めたからには、早く決着をつけないと、動けなくなる。
私が、呼吸を続けられているうちに…!
頸に斬り掛かるが、刀で防がれる。
しかし、私の刀にはその防御は通用しない。
鉄「…!?」
私の刀は、鋸のような刀を二つに斬り、頸を掠めた。
もう片方の刀は…当たった感じだと、本物。
鉄「私はその型を知らない!
お前は何故!その型を!」
『教える必要は無い。』
水の呼吸を意識して刀を構える。
鉄「鋼の呼吸 伍ノ型━━━白・霧子舞風!」
私に向かって細かい斬撃が繰り出される。
今感覚が冴えてきたのか、全ての攻撃のむく方向が分かる。
一つ一つを刃物として捉え、むく方向を感知できる。
体が熱くなってくる。
向かってくる斬撃は全て刀で斬った。
そのまま鉄渋に向かっていく。
鋸のような刀をもう一度出し、持っていた刀と防ごうとする。
『私の刀が勝つ!』
刀と刀がぶつかり、キリキリと音を立てる。
『…くっ、……はぁ!』
私が力を込めると、バリン!という音と共に鉄渋の刀は折れ、頸に刀がかかる。
鉄「絶対に負けるものか!
私もあの方の寵愛を…!」
『そこが私とお前の差だ。』
刀が入り、水しぶきのように血が舞い、頸が飛んでいく。
少し距離を取り、刀を構えたが、何をする訳でもなく塵になり始めた。
それを見て私は刀を鞘に収める。
鉄「…私は、本当は、本当は。
重郎さんの、ことが…ああ、今思い出すなんて」
『皮を似せ続けていたお前はきっと誰にも相手をされてなかった。』
鉄「何も言えないね…。」
どんどん小さくなっていく。
消えるまで見届けると、鉄渋が消えたあとには小さな袋がひとつ落ちていた。
拾って中身を見てみると、鍔が入っている。
私と似ている形で、かなり古いものだ。
私はそれを懐へしまい、大きな音━━━━━炭治郎たちがいるであろう所へと走り出した。
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作者名:エアー | 作成日時:2020年5月22日 14時