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百十六話 ページ24

『でも、私には勿体ない人。』


カナヲとお似合いなんだ、炭治郎は。

華やかな女の子と凛々しい男の子。

理想の恋人たち。

私はそれを守れればいいかもしれない。

炭治郎からしたらきっと私の想いは邪魔だけど、きっと無視はできない。

なら、伝えなければいい。

勝手に守っていよう。


『最初から、カナヲに敵わないと思ってたんだ。私は。

気づいてないだけで、気づきたくないだけで、

きっと、最初から、君に惹かれてたのかもしれない。』


最終選別の、ぶつかってしまった時から。

あの、私を守ってくれた時から。

知ろうとしなかっただけで、本当は惹かれてたんだ。

だから、短期間でこんな成長できた。


『どうせ私には叶わないものだから。

もうこのまま、炭治郎に簪は返したままにしておこうか。』


あの簪がある限り、期待してしまうから。

明日は直ぐに義勇さんの所へ行こう。

そうすれば、きっと、私は期待することなく強くなれるから。


涙がぽろ、と落ちた。

それに驚いて何度も目元を擦るが止む気配がない。

……諦めて目元を擦るのを辞める。

ボロボロと垂れ流しになる。


「A?」


声がする。

今一番聞いては行けない声。


「泣いているのか。」


泣いてない、泣いてない。

これはただの欠伸。

気にするほどの事じゃないから早くどこかに行ってくれ。


炭「A!」


肩をつかまれて、体の向きを変えられる。

正面には泣きそうな炭治郎の顔があった。

苦しそうなものを私に向ける。


炭「なんで泣いていたんだ、教えてくれ。

俺が、何かしたか?」


匂いでそこまでわかってしまうのか。

これは炭治郎のせいじゃない。

私が悪いんだ。


『ごめんなさい』


それだけ言って、炭治郎の腕を振りほどいて、立ち上がる。

自分の部屋へと戻ったが、炭治郎が追いかけてくる様子はなかった。

そのまま布団に潜り、まぶたを閉じた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 , 竈門炭治郎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:エアー | 作成日時:2020年5月22日 14時

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