百十三話 ページ21
竈門炭治郎side
俺は長男だからあの時我慢できたけど、本当は、もう少し近づきたい…！
Aは最近笑ってくれるようになったんだ。
その笑った顔をその綺麗な姿で見てみたい。
カナヲを見つけて急いで屋敷中を探す。
匂いを辿っていくとしのぶさんの部屋についた。
炭｢すみません、しのぶさん！
Aはいますか！｣
胡｢はい、いますよ。｣
俺は勢いよく扉を開けて、Aの手を取った。
部屋を出ようとすると、炭治郎くん、と呼び止められる。
胡｢痕をつけるのは、程々にしてくださいね。｣
炭｢す、すみません！！｣
顔が熱くなり、逃げるようにAの部屋へと行く。
扉を思い切り閉めて、Aを見ると混乱して動けないようだった。
炭｢A。｣
『どうしたの、急に、そんな、走って。』
炭｢抱きしめてもいいか。｣
俺はAから発する匂いに耐えながら聞く。
今日はとても綺麗で可愛くて、今まで以上に女の子らしくて……独り占めしたくなる。
戸惑っているらしく、まともな答えが聞けない。
炭｢嫌なら、突き放してくれ。｣
俺はAに抱きついた。
甘い匂いが強くなってクラクラしてくる。
唇を奪いたくなる。
でも俺は長男だ！それに、俺はまだ思いを伝えられていない。
今こうして行動できるのは匂いのせいであり、おかげでもある。
それにしても、いつまでもAは突き放さない。
俺はAに嫌なことをしているはずなのに…。
炭｢なんで、突き放さないんだ。｣
『嫌じゃないから。』
ドクン、と心臓が大きくなる。
俺は、今、君に伝えるべきなんじゃないのか？
君を、好きだと。君を、守りたいと。
体をゆっくりと離して、Aの瞳を見つめる。
炭｢俺は━━━━｣
扉がバン！と大きな音を立てて開いた。
Aは驚いてその人物を見る。
『義勇さん…』
え、何故あなたがここに…。
冨｢A、話したいことがある。
炭治郎、席を外せ。｣
炭｢………はい。｣
俺は自分の気持ちを抱え、部屋を出た。
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作者名：エアー | 作成日時：2020年5月22日 14時
