百八話 ページ16
栗花落カナヲside
Aが御館様に手紙を書くことがあるのには驚いてしまったけれど、なんとか手紙は書き終えた。
ところどころ引っかかる部分はAに詳しく聞くことにした。
カ「A、詳しく教えて。」
『もちろん』
そう言うと任務の出来事を話してくれた。
町の様子や鬼のことを話してくれた。
カ「……炎の刀は何故?」
『私の呼吸のひとつだ。』
あの時Aは手が震えていた。
無理してその呼吸を使ってたはず。
そうしてまで、私を守ってくれた。
カ「守ってくれて、ありがとう。」
『怪我がなくてよかった。』
Aはふわり、と笑った。
…顔が少し熱くなる。Aの笑顔は初めて見たかもしれない。
カ「怪我が治ったら…約束守って。」
『もちろん。』
Aは少しずつ目が閉じていき少し経つと規則正しい寝息が聞こえてきた。
私は蝶屋敷にいるからAの怪我をした姿しかほとんど知らない。
どんな戦い方をするのか、どんな話をするのか知らなかった。
けど、今回はAを助けに行って一緒に戦った。
少しだけ、知れたと思う。
それに、本人は気づいていないだろうけど、私といる時は女の子みたいに喋ってくれる。
さっきの笑い方も…、女の子だった。
Aは気にしなくても女の子だよ。
心の中で話しかけると外からこちらに走ってくる音が響いた。
師範が呼びに行くって言ってたから、きっと伊之助辺りだろう。
伊「起きたか!A!」
カ「……寝てる」
伊「ハァ?!寝てるじゃねーか!!!」
カ「さっき、寝たばかり。」
伊之助は恐る恐るAの頬をつつく。
それでもAは起きない。
炭「Aが起きたのか?!」
善「Aちゃん大丈夫なのおおおお!!!」
こんな大声を聞いてもAは起きる様子はなかった。
こんなに人いるなら私は任務に行こう。
カ「Aを、よろしくね。」
一言だけ残して蝶屋敷を出た。
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作者名:エアー | 作成日時:2020年5月22日 14時