Lyra (ページ6)

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宮近side

乾杯をしてアルコールを流しこむ

彼女はふた口で飲み干して

『マスター、スクリュードライバーで』

カクテル言葉、

まだ全部覚えた訳じゃないから

彼女の口にしたカクテル名をスマホに打ち込む

スクリュードライバー

“貴方に心を奪われた”

｢えっ、｣

『これ、美味しいんですよ？』

もしかしてこれは脈アリだったりする…？

｢あの、もし良かったら連絡先、

交換して貰えませんか｣

彼女は無言のままスマホを取り出す

『仕事でご連絡遅れてしまうかもしれません』

｢いや、全部大丈夫です。

ありがとうございます｣

お互いに少しの言葉を交わしてLINEを追加する

｢名前、Aさんって言うんですね｣

『自己紹介まだでしたね(笑)』

｢ですね(笑)｣

｢AAです。｣

そう言ってぺこって頭を下げる彼女は

礼儀正しいとかいう前に可愛かった

｢俺は宮近です。宮近海斗｣

｢歳は23で、振られたばっかです(笑)｣

『ふふっ、私も23です。

そのお話はこの前聞きました(笑)』

冗談交じりに自己紹介をしたら

彼女が笑ってくれてほっとした

｢あ、忘れるところだった｣

そう言って俺は鞄から綺麗に畳んだ

ハンカチを取り出した

｢あの、本当ありがとうございました｣

『…お役に立てて光栄です

わざわざありがとうございます』

お互いにお礼を言ってからは

静かな空気が流れたけど

気まずい沈黙じゃなくてむしろ心地いい沈黙

俺はどうしようもなく

彼女の纏ってる空気感に惹かれてた

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