Lyra (ページ40)

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宮近side

かすかにAの声がして目を開いたけど

見えたのは玄関から出ていくAの姿だった

待って、中村のとこに行かないで……

朦朧とした意識でそんなことを考えてた

ついに幻覚まで見えるようになったとかやばいな俺

『…と？海斗？着替えれる？』

「え…A…？」

俺の幻覚じゃなくてそこには本物のAがいて

汗ふくね、なんてタオルまで持ってきてくれてた

はい、って渡されたスウェットに着替えて

寝室に連れて行かれて俺はされるがまま

体調が悪いと人肌恋しくなるのは本当みたい

Aが少しでも俺から離れるのが嫌だった

どこにも行かないでって手を握りしめて眠った

なのに起きたらさっきまでいたAがいなくて

あわてて起き上がった

頭も関節も痛かったけど必死に歩いてリビングに向かうと

そこにはお粥を作ってくれてるAがいて

心の底から安心した

食べるとは言ったけど食欲はあまりないし

スプーンを持つ手を動かすのさえダルかった

それを見計らってか、彼女は俺に食べさせてくれて

いつの間にか完食していた

手渡された薬を飲んで再び寝室に連れていかれる

LINEのトーク履歴で知らない間にAに助けを

求めていたのを見て焦ったけど彼女はこうして来てくれた

数時間前の俺を褒めてあげたい

＿＿Aが彼女だったらこんな感じなんだろうな

甘えてごめん、ありがとうA

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