Lyra (ページ2)

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苦しそうに顔を歪める彼

私は他人である自分が下手に口出ししたり

励ますのはおかしいって思うタイプの

人間だから、彼が握りしめている手を

見つめて話を静かに聞いていた

『彼女さんのこと、本当に好き、なんですね』

私は初めて口を開いた

『1杯奢らせてください』

フローズンマルガリータを注文して

彼の目の前に置いた

｢これ、初めて飲みました｣

『カクテル言葉って知ってます？』

｢聞いたことは……｣

『良かったら調べてみてください』

そう言って微笑むと彼も微笑み返してくれた

ふと終電を思い出してスマホで確認する

走ればギリギリ間に合う時間だったけど

今日は歩きたい気分だったから

時間が過ぎるのを見送った

ここから家まで歩くと40分くらいかかるから

帰り支度を始めることにして、

隣の彼が何か言いたげにしていたけど

『お先に失礼します』

それだけ言って支払いを済ませて店を出た

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