貢ぎ癖 ページ26
少し大きな声に驚いて肩が跳ねる。
紛れもないアーサーの声、それも怒っている声色にフェリシアーノがギギギと体の向きを変えて苦笑いをした。
「ヴェ、あ、あ、アーサー…」
「お前、俺のレディに手を出すとはいい度胸じゃねぇか。センスだけは認めてやるが、俺の手が出る前にさっさと失せろ」
「ひっ！ご、ごめんなさい〜！！ルート！助けてぇ〜」
顔面蒼白といった様子でフェリシアーノがルートの背中に隠れる。
その姿はまるで生まれたての子鹿みたいでちょっぴり可愛いらしく見えた。
「アーサー、それくらいにしといてやれ」
「あ？」
「こいつはAがお前の恋人だと知らなかったようだ。見逃してやれ」
「……チッ、しょうがねぇな。さっさと行っちまえ」
しっしっと手で追い払うジェスチャーをされ、二人がいなくなる。
半べそで帰っていったフェリシアーノが少し可哀想だったが、ここで庇うと飛び火しそうなので黙っておくことにした。
「A、大丈夫だったか？何かされてないか？」
「何かって？」
「その……キスとか」
「まさか！何もされてないよ」
ホッとした様子で向かいにかけた彼がわかりやすくて思わず笑ってしまった。
「わ、笑うなよ…本気で心配したんだからな」
「はは、ありがとね。安心していいよ、アーサー以外にはついていかないし」
「そ、そうか！」
しばらくして運ばれてきた料理とバタービールは温かくて、二人して舌鼓を打った。
「それじゃあまた明日」
「あっ待て、A」
ホグズミードから城に戻り、各寮へ解散しようとしたところで引き止められ足をとめる。
「あれ、忘れてるだろ」
「ん？……あ〜！へへ、可愛いねアーサー」
「うるせぇ早くしろ」
白い頬が染まったのはきっと外気の冷たさだけが理由ではないだろう。
手袋を外し、頭をなでながら抱き締めれば満足そうに息を吐く音が耳元で聞こえた。
「おやすみアーサー」
「ん…おやすみ。あとこれやる」
「え？あ！ちょっと！」
「ちゃんと明日つけてこいよ！」
無理やり手に握らされた新しいイヤーカフを見つめながら、彼の貢ぎ癖に眉を下げて寮への階段を登った。
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シマ(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます！三週もよんでいただけるなんてとても嬉しいです。これからも頑張っていきますので楽しんでいただけましたら幸いです！ (2月22日 19時) (
レス) id: ececbacc38 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 今まで読んだ中で1番お気に入りの作品です！本当に好きすぎて三週目に入ってしまいました！キャラたちがすっごくイキイキしていて読んでてすごく楽しいです〜 (2月18日 21時) (レス) @page25 id: 7b34a85afd (このIDを非表示/違反報告)
シマ(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございます！普領なのですね！ギルベルトも素敵なキャラですよね。アーサーの魅力を伝えられてとても嬉しいです、これからも頑張っていきますのでどうぞよろしくお願いします！ (1月27日 22時) (レス) id: ececbacc38 (このIDを非表示/違反報告)
なな - もうずっと普領な私なのですが、気軽な気持ちで読み始めました。が！！、この小説の時はアーサー♡になってます笑こんな素敵な小説に出会えたこと、嬉しく思います！これからも更新待ってます！ (1月26日 11時) (レス) id: 08cc896749 (このIDを非表示/違反報告)
シマ(プロフ) - 名無し90553号さん» コメントありがとうございます。とても気に入っていただけているようでとても嬉しいです、ありがとうございます。これからも拙い文ですが書き続けていきますのでよろしくお願いします！ (11月3日 16時) (レス) id: ececbacc38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シマ | 作成日時：2023年8月6日 19時
