医務室でのバレンタイン ページ35
「いただきまーす…」
口元に運び、ゆっくりと口を開ける。
控えめにかじればジャリッと音がした刹那、口の中にものすごい苦味が広がった。
「ッ〜〜〜！！！！」
「あっおい！？」
目がまわり、椅子からころげ落ちる寸前で隣から支えられる。
酷く焦りながら何かを叫ぶアーサーが目に入ったが、耐えきれず私は意識を手放した。
重たいまぶたを開け定まらない視点の中、目を凝らして見えたのは医務室の天井だった。
胃が痛い。私、なんでこんなところで寝てるんだっけ…
「っA！」
声のした方に目だけを動かすとアーサーがこちらを見下ろしていた。目尻が赤い、泣いたのかな。
次第に騒がしくなり、他にも周りに人がいることを認識した。
「目が覚めたのね！よかったぁ…」
顔をのぞき込んできた友人に手を貸してもらい上体を起こすと、フランシス、アルフレッドがベッドに駆け寄ってきた。
「A〜！！はぁぁ〜もう、お兄さん心臓止まっちゃうかと思ったんだから！」
ぎゅっと抱きつき潰されて「ぐえ」と声が漏れた。
「こんな事になるなら、アーサーの作ったものは食べちゃだめだって教えておけばよかった！」
「おい体調が悪化するだろ！Aから離れろこのバカ！」
「なによ、もとはといえばお前があんなゲテモノ食べさせたからでしょ！」
そうか、思い出した。アーサーが私の為に作ってくれたスコーンを食べて気絶してしまったんだった。
「げ、ゲテモノじゃねぇよ！」
「もう！お前はもう少し自分の作ったものが兵器になりうる可能性を考えてよね！」
「っそんなに言わなくたっていいだろバカぁ」
「だ、大丈夫大丈夫！こうして目も覚めたしさ」
瞳が潤みだし、表情が曇っていくアーサーにすかさずフォローを入れる。
これ以上傷つけたくはないし、こんなところで喧嘩をおっぱじめられるのは御免だ。
「にしても本当に心配したよ、君って結構命知らずなんだね！HAHAHA！」
カラカラと笑って容赦なく背中を叩くアルは力が強い。
「とりあえず顔色もそこまで悪くないし、安心したわ。あまり煩いとマダムに怒られるから私達は行こうかしらね」
「そうだね！アーサーに責任持って看病して貰おう。フランシス、行こう！」
「えっ、だめだめ！眉毛なんかに看病任せたら逆効果だって！ちょっと！」
「それじゃあカークランド君、Aのことよろしくね！」
ジタバタと暴れるフランシスを担いで出ていくアルに続き、友人も小走りで医務室をあとにした。
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ベンザチャン(プロフ) - ショコラマドレーヌ…美味しそう(( 更新楽しみにしてます！！ (2022年10月31日 8時) (
レス) @page31 id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
シマ(プロフ) - ベンザチャンさん» いつも読んでくださりありがとうございます。アーサーはさり気なく相手の好みだけでなく自分の要素も取り入れた物をプレゼントしそうだなと思って書いてみました。応援ありがとうございます。 (2022年10月26日 2時) (レス) id: ececbacc38 (このIDを非表示/違反報告)
ベンザチャン(プロフ) - 全身アーサー色だなんて、、読んでる私が尊くて倒れちゃいそうです…(？)更新頑張ってください！！ (2022年10月22日 12時) (レス) @page24 id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
シマ(プロフ) - うきこさん» 読んでいただきありがとうございます！カークランド家とアーサーがどうしていくのか楽しみにお待ちくださいね、応援ありがとうございます！ (2022年10月17日 22時) (レス) id: ececbacc38 (このIDを非表示/違反報告)
うきこ - 続編も最高です！お家のこととかこれからどうなっていくのか気になる(≧∀≦)応援しています！！ (2022年10月17日 10時) (レス) @page19 id: 3d360ad6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シマ | 作成日時：2022年10月7日 2時
