優しさ ページ22
「手、出して」
戸惑っていると小さな箱を押し付けられた。
「クリスマスプレゼントだ」
「えっ」
「いいから開けてみろ」
急かされて言われた通りに蓋を開ける。ロイヤルブルーのジュエリークッションの上に、親指の爪程の大きさの三日月が乗っていた。
「うわぁ、綺麗…」
指で掬い上げたそれには細いチェーンがついていてネックレスになっているようだった。よく見ると三日月のペンダントトップに小さなグリーンのストーンが一つ嵌め込まれている。
「どうだ？そういうの好きか？」
「うん！すごく好みだよ！」
「そ、そうか！…まぁお前のことはよく理解してるからな！」
お礼を言おうとしてハッとした。嬉しそうな彼とは裏腹に体が芯からみるみる冷えていくのを感じる。
彼の言葉はたしかに間違っていない、ネックレスのデザインはとても自分好みだしとても嬉しい。しかし私には素直に喜べない理由がある
「私、何もプレゼント用意してなくて…ごめん」
今年はパーティとダンスの準備で頭がいっぱいでプレゼントのことを全く考えていなかったのだ。
申し訳無さと自分のツメの甘さに気持ちが沈んでいく。
失望されてしまっただろうか、残念な気持ちにさせてしまったかもしれない。
俯いたまま、顔を上げられずにいると屈んでのぞき込んできた彼と目があった。その表情は予想していたのとは違って、怒りも悲しみも宿してはいなかった。
「なんだ、そんなことか」
さらりと頭を撫でられた、指先が髪を優しく梳く。
「いいんだよ俺は。好きでプレゼントしたんだ、それに俺だって事前に伝えてなかっただろ？」
「ん…でも」
「それにお前が喜んでくれたなら俺にとっては一番のクリスマスプレゼントだ」
歯の浮くような台詞を吐いて額を突いた彼に、茶々一つ入れられず目頭が熱くなる。どれだけ素直じゃなくても、わかりづらくても、この人はこんなにも温かい。
「ありがとう、大切にする」
「おう！…なぁ、着けるから後ろ向いて」
私の手からネックレスを掻っ攫うとくるりと体をまわされてしまったので、大人しく後ろ髪を持ち上げる。
「………よし、髪下ろしていいぞ」
カチッという軽い金具の音がして、自身の鎖骨あたりに目線を落とせば三日月が銀色に輝いている。
「似合ってる」
「ありがとう。来年は絶対プレゼント用意するね、リクエストとかない？」
「リクエストか、そうだな…」
悩むような顔をしていたのもつかの間、ひらめいたという顔でアーサーは口を開いた。
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ベンザチャン(プロフ) - ショコラマドレーヌ…美味しそう(( 更新楽しみにしてます！！ (2022年10月31日 8時) (
レス) @page31 id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
シマ(プロフ) - ベンザチャンさん» いつも読んでくださりありがとうございます。アーサーはさり気なく相手の好みだけでなく自分の要素も取り入れた物をプレゼントしそうだなと思って書いてみました。応援ありがとうございます。 (2022年10月26日 2時) (レス) id: ececbacc38 (このIDを非表示/違反報告)
ベンザチャン(プロフ) - 全身アーサー色だなんて、、読んでる私が尊くて倒れちゃいそうです…(？)更新頑張ってください！！ (2022年10月22日 12時) (レス) @page24 id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
シマ(プロフ) - うきこさん» 読んでいただきありがとうございます！カークランド家とアーサーがどうしていくのか楽しみにお待ちくださいね、応援ありがとうございます！ (2022年10月17日 22時) (レス) id: ececbacc38 (このIDを非表示/違反報告)
うきこ - 続編も最高です！お家のこととかこれからどうなっていくのか気になる(≧∀≦)応援しています！！ (2022年10月17日 10時) (レス) @page19 id: 3d360ad6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シマ | 作成日時：2022年10月7日 2時
