なんのための ページ28
・
そんなどんよりした気持ちで控え室に戻ることも出来ず、1人でメイク室でぼーっとしていた
みんながみんな寝る間も惜しんで頑張ってきたことを間近で見てきて、頑張ってきたことが評価されずに泣いてる姿や、あらぬ誤解を受けて誹謗中傷で苦しんでいる仲間を間近で見てきて。
きっと、順位発表や脱落を経験する前の私だったらそれは自分の力不足だからって、他の姿で見返せばいいってはっきり考えることが出来たんだと思うんだけど、脱落をした子達のことや、頑張ったのにそれを見て貰えないって考えると、私って何やってるんだろうって。
なんのために頑張ってるんだろうって。
あんなになりたかったアイドルになれる機会なのに。
今となっては、アイドルになることに少し恐怖を覚えている。
これはサバイバルだから仕方ないってちゃんと思ってるし、分かってはいるんだけど、それでもやっぱりなんだかなぁ…
わたしは、なんの為に…
MN「Aー、これ使う？？」
「あ…ミナオンニ。ありがとうございます」
MN「…Aは何を悩んでるんだー！？」
頭をクシャッと撫でられる。
ミナオンニにまで気を使わせちゃってるなーって冷静に感じる自分もいるんだけど、なんか、やっぱり、涙が出てきちゃって
MN「あいごあいごー！泣いたらメイクとれちゃう！！」
バタバタとティッシュを取りに行ってくれたミナオンニ。
…私のすぐ横にティッシュあるんだけど
ティッシュを持ってきてくれて、隣に座り直すととても心配そうな目で見てきて、あぁ、これは悩みを言わないと余計に心配かけちゃうパターンだなって
「あの、ミナオンニ、私、サバイバル辛いんです」
MN「え？」
「誰よりも頑張って、誰よりも輝いてやるんだって。
このプログラムが始まってからずーっと今までそうやって思って。そうしか思わないようにして今までやってきたんです。」
MN「うん」
「仲間を蹴落とすとかそういうの苦手だから、1人で頑張ろうって。そうやって思ってきたんです。
どれだけ仲がいい友達やオンニが出来ても、結果を求められる世界だから、結果は1人しか手に出来ないから。
だから、心のどこかで壁、というか、線というか、そういうものを引いてたんです。意識的に。自分の中で。」
MN「うん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 113人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱりぱり | 作成日時：2019年2月20日 15時
