【志麻】忘愛症候群。【歌い手】

質問 ページ23

センラさんはゆっくり私に近づくと、優しく微笑んで質問をして来た。

セ｢Aちゃん、何で事故に遭ったか覚えてる？｣

そんな他愛ない質問。
何の気なしに、私は正直に答えた。

貴｢私が信号を見ずに、歩道を渡ろうとしたからです。」

改めて口に出すと、本当に運転手さんには悪いことをしてしまった。

センラさんは、続けて質問をしてくる。

セ｢自分が一番仲が良い人の名前は？｣

仲がいい人の名前、かぁ…

貴｢96ちゃん、ですかね。」

少し考えてそう答えると、センラさんは少し躊躇うような表情を見せたあと

セ｢…Aちゃん、幼馴染みっている？｣

そんな質問をしてきた。
幼馴染みなんて、私の記憶ではいた覚えがない。

貴｢幼馴染みですか？いませんけど。」

そう答えたら、センラさんは悲しそうに

セ｢…分かった。」

そう呟いて、私から離れた。
普段飄々として余裕そうなセンラさんのあんな顔、初めて見た。

そのまま私に背を向け、うらたさん達の方に戻っていくセンラさん。

ボソボソと小さい声で話しているため、遠ざかられると会話の内容が聞こえない。

でも、皆の表情から察するに、真剣な話をしているのは伝わってくる。

そんな皆を見ていたら、あの人が私にゆっくり近づいて来た。

その仕草さえも嫌で、私はその人を少しだけ睨む。
まぁ、怖くなんてないのだろうけど。

ピタッと私が寝ているベッドの前で止まって此方を見るその人は、酷く辛そうな顔をしていた。

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