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そういえば＿＿言われてみれば、昨夜のときも、そうだった。雨合羽は、私をぶっ飛ばしたところで、突然、去っていった。それは相川が、忘れ物の封筒を持ってその場に現れたからだ……けれど、相川が現れたからといって、どうしてそれが雨合羽の逃げる理由になる？
考えてみれば、それはとても不自然なことではないか。あれが『人間』の通り魔だったり『人間』の殺人鬼だったりしたなら、自然なことだろう＿＿しかし、『怪異』が目撃者を気にする理由なんかあるわけもない。そもそも、雨合羽の左腕の腕力があれば、相川一人程度、何の障害にもならないはずなのに。
なら、どうして逃げた。
現れたのが相川だったからか？
どういうことなんだ？
本当に愛の力なのか？
ご都合主義にも、月崎志麻の、相川を想う気持ちは、悪魔をも凌ぐというのか……一途な想いは世界そのものである怪異も押しのけ、地から天に通じるものなのか＿＿否。
否。
そうじゃない……わかった、想いだ。
レイニー・デヴィルの左手に二つ目の願いを願い、月崎の左手がけだもののそれと化した後も＿＿それが実際に発動するまでには、四日を要した。それは、月崎が、ぎりぎりのところで、私が憎いという想いを抑えつけていたからだ。願いは自分で叶えるものだという、彼の姿勢が、悪魔の暴力を、抑えつけていた。
歌詞さんはそういう、一つ目の願いを願ってからの七年の間に強固に根付いた月崎の姿勢をちゃんちゃらおかしいと笑ったが＿＿それは、そういう通りの一遍の意味ではなかったのだ。
決して間違えてない＿＿と言っていた。
月崎の想い。
想い＿＿月崎志麻の願い。
レイニー・デヴィルは人間の暗い感情を見透かし見抜く＿＿裏を読んで裏を見る。悪魔は願いの裏を見る。足が速くなりたいのは、同級生が憎かったから。相川のそばにいたいのは＿＿阿良々木Aが憎かったから。
でも、それは、あくまでも、裏側だ。
表があれば裏があるよう。
裏があるなら＿＿表がある。
もしもレイニー・デヴィルが相川真冬を傷つけてしまったら＿＿憎悪の対象である阿良々木Aを殺そうがどうしようが、関係なく、月崎の表の願いを、叶えることができなくなってしまう……そうだ、愛の力なんてそんな感動的でセンシティヴな問題じゃない、もっと実際的でプリミティヴな問題なのだ。
契約なのだ。
取引なのだ。
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灰猫(プロフ) - りょくちゃさん» 毎回ありがとうございます！アレンジ部分はうまくできてるか毎回不安になるのでそう言ってもらえてうれしいです！早く続きをお見せできるよう頑張りますね！！ (2021年8月17日 18時) (
レス) id: 5303b97ef5 (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 毎回失礼します！し、まモンキーも最高でした、、毎回ながら原作に沿ってるけど灰猫さんのアレンジが本当に好きです。これからも灰猫さんのペースで更新がんばってください！！ (2021年8月15日 20時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2021年8月15日 19時
