【イナアレ】島柄長 (ページ10)

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第4話特別な練習 2 ページ10

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(それでも、2人抜きだと全国で戦うにはやっぱり心許ない実力だ…だけど……)

千鳥はフィールドをぐるりと見渡す。皆、キラキラした笑顔を浮かべ、心の底から仲間とできるサッカーを楽しんでいた。
正直なところ、アツヤがいるとこうはいかない。皆アツヤに振り回されて、自分のサッカーが出来ないことに、もどかしさを感じてしまうのだ。

(きっと、アツヤくんも自然にこの中に混じることが出来れば、もっと強いチームになれるはずなんだけど……)

難しいよね、と千鳥はため息をつく。

(もっとアツヤくんのことを振り回して、みんなに合わせざるを得なくなるような、そんな選手がいてくれたらいいんだけど)

ふと千鳥の頭の中にそんな考えが浮かぶ。例えば、サッカーの技術は未熟でも、アツヤに負けない勢いで攻めようとする人。アツヤの迫力に気圧されないマイペースな人。……けれどそんな選手が都合よく居るはずもないだろう。千鳥は再びため息をついた。そのときだった。

「ち、千鳥ちゃーん！！危ないっぺ！」
「へ？はぶっ！」

飛んできたボールが千鳥の顔面に激突する。つい考え事に夢中になってしまっていたが、今は紅白戦の最中だ。千鳥はくらくらと目を回し、どさっと音を立ててその場に倒れた。

「千鳥ちゃん！」
「ち、千鳥～！」

慌てて部員たちは千鳥に駆け寄る。普段フィールドの隅々まで目を向けている千鳥の珍しい姿に、皆驚きを隠せなかった。

「は、はへぇ…ご、ごめんなさ……。」

くらくらする頭と、呂律の回らない舌でそう言ったが最後、千鳥は意識を手放した。

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