【イナアレ】島柄長 (ページ42)

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第20話アツヤの戦略 1 ページ42

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「今のはゴーレムが行くところでしょ！」
「日和の方が近かったでゴス！」

白恋のタクティクスの前に棒立ちしてしまったディフェンス2人は、責任を押し付け合うように言い合いを始める。雷門のチームワークに綻びが出はじめた。

「言い争いしてる場合か！」

すかさず万作が険しい表情で2人に喝を入れる。2人はしゅんと肩を落としたが、お互い未だ胸にわだかまりを抱えているようだ。

試合は続いていく。
万作はアツヤのマークについていた。ふと、アツヤはニヤリと口角を上げる。

「なんか生臭えなぁ…」
「なに…？」
「そういやお前んち寿司屋だっけ？どおりでプレーも生臭ぇはずだ」
「なんだと！」

万作はたまらずアツヤに怒声を浴びせる。アツヤは不敵な笑みを浮かべたままだ。万作はすっかりアツヤの策略にはまってしまっていることに気がつかない。

「ゴーレム！ボサッと突っ立ってんじゃねえ！」
「ご、ごめんでゴス…」

気が立った万作は味方に八つ当たりをしてしまう。見かねた奥入が「なにイライラしてるの！」と万作を諌めようとするも、彼のイライラは治らないようだ。

そんな中、士郎が雷門のDF陣にドリブルで侵入してきた。慌てて「誰がマークにつくの！」と日和が尋ねる。

「誰でもいい！10番はオレが…って、」

万作はそう言うものの、冷静でない彼は既にアツヤを見失っていた。

「何やってるんだ、万作！」
「自分だって簡単にマーク外してるでしょ！」

次々に避難を浴びて、万作はさらに苛立つ。「なんだと！」と思わず彼らに言い返す万作を、岩戸がおどおどしながら「喧嘩はダメでゴス…」と宥めようとした。

そんな彼らの様子をキーパーポジションから見ていたのりかは表情を険しくする。

「みんな、試合に集中して！」

彼女がそう一喝したところで、前半は終了した。計画通り、チームワークを乱した雷門を見てアツヤはほくそ笑んだ。

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