第19話 活躍 2 ページ41
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「やった、先制点だ…！」
揺れたゴールネットを見て、千鳥は目をキラキラと輝かせる。勝利への道が見えてきた。その喜びに千鳥は掌にうっすら汗が滲むのを感じた。──一方で。彼女の息は、既に上がりかけていた。
「…さすがここまで勝ち上がってきたチームだけありますね……」
この一連の流れを見ていた氷浦が、目つきを鋭くして道成に向かって囁く。
「ああ。前線の3人だけじゃない。司令塔の彼女を筆頭によく連携が取れている…。」
道成も苦しそうな顔をして氷浦の言葉に頷いた。そんな2人に、すれ違いざま染岡が「これが今の雷門の実力か？」と声をかけた。
「気を引き締めてこねえと、このまま一気に勝負を決めちまうぞ。」
その後も白恋の優勢が続いた。千鳥を中心としたコンビネーションで中盤を支配し、雷門はボールに触れることさえできずにいた。
そんな中、ボールを持つ千鳥とその側にいる士郎に、奥入が近寄る。士郎から注意を逸らさずに、千鳥との距離を詰めていく。
それを見たアツヤはすかさず中盤に下がり、奥入の注意を引き付けた。奥入が思わずマークを自分へ移したのを見て、アツヤはニヤリと笑った。
「その悪戯っ子の顔…最高にノってるときのアツヤだね」
アツヤの表情を見て、思わず士郎も口元を緩める。
千鳥は、奥入の意識が自分から外れた一瞬の隙をついて、両目を手で覆った。
「必殺タクティクス！ホークアイ！」
「！しまった！」
千鳥の瞳が黄色く瞬く。奥入は慌てて千鳥からボールを奪おうとするが、時すでに遅い。
千鳥は素早くボールを士郎にパス。鷹の羽が白恋イレブンに進むべき道を示していた。
その道に従い、士郎はダイレクトで浮き球のパスを出す。そこにはマークを外れ走り込むアツヤがいて、ボールに追いついた。
そのまま迷うことなくパスを出す。ボールは鷹の羽に乗って雷門のDF2人の丁度中間に飛んで行った。そのボールに向かって走り込むノーマークの染岡がシュートを放つ。のりかはなんとか枠外へそれを弾いた。
しかし、翻弄された雷門の混乱は収まらない。
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月18日 0時
