【イナアレ】島柄長 (ページ40)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:53,768 hit

第19話活躍 1 ページ40

＊

アツヤは猛然と突き進み、「千鳥！」と中盤の千鳥にパスを出す。
しかし、千鳥は雷門の選手2人に囲まれてしまった。

「司令塔を押さえれば、白恋の攻撃は機能しない！」

そのうち1人、キャプテンの道成はそう声をかける。しかし、千鳥に焦りの色は見られなかった。

前線でボールを待ち構える士郎はその光景を見てニヤリと口角を上げる。

「押さえられれば、の話だけどね。……ボクの千鳥はそんなに甘くないよ。」

士郎は誰に言うわけでもなく、そう呟いた。

一方、囲まれた千鳥は一度小さく深呼吸をする。そして素早く周囲を見渡すと、自分を囲む2人の選手の隙間を見つける。

「士郎くん！」

千鳥はそのままその穴を突いて士郎へパスを出す。士郎はボールへ走り込み、見事そのボールを胸でトラップした。

「士郎くん、そのまま上がって！アツヤくんと染岡さんも！空野先輩と荒谷先輩は士郎くんの斜め前へ！」

千鳥はその勢いでチームメイトへ指示を飛ばす。すると雷門の選手たちの隙間を縫って流れるようにパスがつながり、あっという間に前線で再び士郎にボールが渡った。すると士郎は「さぁ、仕上げといこうか」と口角を上げる。

「染岡さん、アツヤくん、士郎くん！」

それと同時に、千鳥が再び3人に声をかける。それを合図にして、3人は動き出した。士郎と染岡が相手のディフェンスを翻弄するように動き、アツヤをフリーにする。そしてボールはアツヤへ。

「くらえ！必殺クマゴロシ斬！」

アツヤは赤黒い光を纏った足でボールを斬るように蹴った。ボールは同じような赤黒いオーラを纏って勢いよくゴールに向かう。

「ウズマキ・ザ・ハンド！」

のりかは腕を前に突き出してアツヤのシューに対抗した。のりかの腕からは渦巻きが現れ、そこから巨大な腕が出現し、ボールを受け止める。
しかし、パワーはアツヤのシュートの方が上回っていた。次第にのりかは押し負かされ、ついに水で出来た腕を破ってボールはゴールネットに刺さった。

アツヤはさも当然だ、というふうに口角を上げる。そこに歩み寄った士郎と頭上で手を合わせた。

＊