第17話 雷門の様子 1 ページ35
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場所は雷門中。伊那国島を出て、サッカーを取り戻すためにやってきた新生雷門中は、次の試合の為のミーティングを行っていた。
次の試合相手は北の強豪、白恋中。
雷門イレブンはミーティングルームの中央にある大きなビジョンを眺めながら、監督の話に耳を傾けた。
「まずマークすべきは前線の三枚。まずは去年の雷門の優勝メンバーで、今では強化委員として白恋を支える染岡竜吾くん。」
言いながら趙金雲監督はスマートフォンを操作する。するとビジョンには強面の少年、染岡が映し出された。
「続いてキャプテンであり、攻守に長けた選手、『雪原のプリンス』こと吹雪士郎くん。」
再び監督がスマートフォンを操作すると、今度はクールな印象で整った顔立ちの少年、吹雪士郎が映し出された。そのまさに王子といった出で立ちに、誰かが息を飲む音が聞こえる。
「最後にエースストライカーで弟の『熊殺しのアツヤ』こと吹雪アツヤくん。」
再度、スマートフォンを操作する。そしてビジョンに映し出されたのは、焼けた黒い肌で筋骨隆々の青年だった。予想外すぎる見た目に、選手たちは「ええーっ！？」と思わず悲鳴をあげる。
「しっかし、兄弟って言う割に全然似てないな……」
雷門のFW、剛陣が冷や汗を流しながらそう呟く。その言葉に、趙金雲監督はビジョンを見て「あ、間違えました」と間抜けな声を上げた。
「これは私が昔山で会った熊殺しのウィリーの写真でした。」
「そこで間違えんな！」
剛陣はちゃらけた監督の態度に堪らずツッコミを入れる。けれど監督は気にすることなく、さらりとアツヤの画像を本物と差し替えた。本物のアツヤは兄と同様に整った顔立ちをしているが、随分やんちゃな印象を受ける。
「この3人は、全国でもトップレベルの破壊力を持つトリオですね。」
「裏を返せば、前線の3人さえ押さえれば対応できる相手ということですね？」
監督の言葉を聞いた奥入は、顎に手を当てそう口にする。奥入の言葉を聞いた選手たちは、それなら、と意気込もうとした。しかし、それを遮るように監督は「そうとも言えないんですねぇ」と目を光らせた。
「監督。それはどういうことですか？」
稲森が監督に聞き返す。監督は口元に不敵な笑みを浮かべて、スマートフォンを操作した。
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月18日 0時
