【イナアレ】島柄長 (ページ2)

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第1話白恋中 1 ページ2

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「雷門、か……。」

暗い部室の中、少年はぼうっとテレビの画面を見つめる。そこには、FF地区大会予選第1試合、雷門中対星章学園の試合が映っていた。
ランキング1位の星章学園に意外にも先制点を決めた雷門中は、フィールドを跳ねて喜び合っている。これは新たな強敵の出現かもしれないと、少年は目を細めた。
ふと、隣からこほこほと咳き込む音が聞こえた。見れば、共に画面を見つめていた少女がマスクを抑えて数度咳をしたようだ。

「大丈夫？もう帰ったほうがいいんじゃない？」

少年の声かけに少女はふるふると首を横に振った。

「まだ、この試合が終わるまでは。」

小さな声でそう言う少女の手には紅藤色の手帳とペンが握られていた。彼女はこのチームの分析役。その役目をしっかりと果たそうと、画面をじっと見つめては何やらその手帳に書き込んでいる。

しばらくすると、ガチャリと部屋のドアが開く音がした。一つの足音が二人に近付く。

「兄貴、今年の優勝はオレたちが貰う。そうだろ？」

少年──吹雪士郎の弟、吹雪アツヤは士郎の肩に手を添えそう口にする。その言葉に士郎はああ、と頷くと2人でくくっと笑った。

すると突然、「アツヤ！」という怒鳴り声と共に、部屋のドアがバンと音を立てて開かれた。

声の主はドカドカと足音を立てて3人に近づくと、アツヤの肩を乱暴に掴んで自分の方へ向かせる。

「今日の試合何考えてるんだ！サッカーはな、お前1人でやってるんじゃないんだぞ！」

彼は同じサッカー部員の目深宗司だ。目深はアツヤと目線が合うやいなや彼に向かって声を荒げる。慌てて彼のそばにいた、荒谷紺子が彼を宥めようとするが、彼の怒りは治りそうもない。
目深に続いて部室に入ってきた部員たちはその険悪な雰囲気に思わず固まってしまう。

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