【イナアレ】島柄長 (ページ8)

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第3話士郎と彼女 3 ページ8

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「…それにしても、本当にすごいよ。星章学園は。」

カチカチとマウスを動かしながら、千鳥はそう口にする。千鳥の言葉に、士郎は「フィールドの悪魔、灰崎凌平かい？」と尋ねる。しかし、千鳥は首をゆっくり横に振った。

「ううん、もちろん彼もすごいんだけど、一番すごいのはやっぱり…」
「ピッチの絶対的指導者、鬼道有人。」

士郎の声に千鳥はうん、と頷く。

「すごいんだ。ピッチ全体を見渡して、最適な指示を選手に出す…。彼の戦術に穴がないわけじゃないけど、そこを突くのは相当大変だ。もし全国で彼らと当たったら、苦戦は必至だよ。」

神妙な面持ちで言うと同時に、千鳥はパソコンを閉じた。その瞳には、彼らと戦いたいという熱い闘志と、少しの不安が滲んでいる。

「大丈夫だよ、千鳥。ボクらがいるから。今日はもう寝てね。」
「うん…。」
「…全国に行くためにも、あと予選1試合、頑張ろう。」
「！うん！」

士郎はそう言って千鳥を励ますと、「おやすみ」と言い残して部屋を出て行った。
千鳥は自らが手帳に書き連ねた文字を眺めて、ふん、と鼻を鳴らす。
そうだ。彼らと戦うには、まずは予選を突破しなくてはならない。そのために、最悪なタイミングで引いてしまったこの風邪を早く治さなければ。

千鳥は急いで布団に潜り込むと、治れ治れと自分に暗示をかけながら眠りに落ちていった。

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