第22話 破られたタクティクス 2 ページ47
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雷門ベンチでは、監督が計画通り、というようにオーッホッホと高らかな笑い声をあげていた。
「いくら観察力が優れていても、サッカーの常識を外れたプレーをされてしまえば手も足も目も出ませんねぇ！」
「でもみんな、あんなに走り回って、それにどこにボールが来るかもわからないのに、よくパスを繋げられていますね。」
大谷の言葉に監督はまた高笑いをする。
「彼らだからこそ出来るのです。フィジカルに強く、仲間を心から信頼しあっている彼らだからこそ！」
雷門はあっという間にゴール前までパスを繋いだ。最後のDFを稲森が抜き去り、「いっけえー！」とシュートを放つ。その鋭いシュートは白恋ゴールの隅に突き刺さった。
稲森は指を立て、銃を撃つポーズのゴールパフォーマンスをきめる。わっとスタジアムに歓声が湧いた。
歓声の中、千鳥はへなへなと地面に崩れ落ちる。そこに士郎とアツヤが駆け寄った。
「ごめん、わたしのせいだ…せっかく2人が点を取り返してくれたのに……。」
「千鳥のせいじゃないさ。まさかあんな方法を取ってくるなんて、ボクらも予想外だった。」
「だが、どうする。これでホークアイも通用しなくなっちまったんじゃないのか？」
アツヤの言葉に千鳥はゆらゆら立ち上がると、ぎっと自分の目を抑えた。
「……次は必ず見抜いてみせるよ。」
「だが、これ以上千鳥ばかりに頼るわけにもいかなくなった。」
そこに染岡も合流する。そして染岡は視線をベンチのなえへと送った。
「そろそろか……。」
染岡の視線を受け取ったなえは、弾むようにして立ち上がる。
「いよいよウチの出番やっぺ〜！」
なえは待ってましたと言わんばかりに輝かしい笑顔を浮かべた。
試合はまだまだ終わらない。
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第23話 姫の登場 1→←第22話 破られたタクティクス 1
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月18日 0時
