第54話 騒がしいお好み焼き屋 1 ページ6
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その後、千鳥たちは入口付近に皆集合したものの、どうやら一之瀬だけ姿が見えない。
「あれ？一之瀬くんは？」
「一之瀬くんなら、ここを出てお好み焼き屋さんに向かったらしいよ。」
木野の呟きに、吹雪が答える。吹雪の後ろには2人の少女いた。先程とは違う子たちだ。「この子たちが見てたんだって」と吹雪はにこやかに続けた。
皆はそんな吹雪に半笑いの冷めた目線を向ける。
(士郎くん…。単純に女の子を都合よく使うのはよくないと思うな…。)
千鳥はひとつ小さく溜息をついた後、「それじゃあ、そのお好み焼き屋さんに向かいましょうか」と呼びかけた。
それから千鳥たちはその少女たちの言っていたお好み焼き屋さんに到着した。ソースのいい香りにお腹が減ってくる。
お店の中からは確かに一之瀬と思われる声が聞こえてきた。
円堂が店の戸を開けると、その中には一之瀬と褐色の肌で水色の髪の少女がいた。
「円堂！」
一之瀬は円堂を見つけると、安心したように円堂の名前を呼ぶ。壁山が「あーっ！お好み焼き食べてるっす！先輩だけずるいっすよー！」と一之瀬の座るテーブルに置かれたお皿を指差した。しかし、一之瀬はとても困ったように、「いろいろあって…。」と曖昧に笑っている。
「なんや。それがさっき言うとった仲間っちゅーんか。」
「そうだよ。それじゃ、お好み焼きありがとう。本当に美味しかったよ。」
一之瀬が円堂たちの元に行こうとするも、その少女に「ちょい待ちぃ！」と阻まれてしまった。
「あんた、ウチの特製ラブラブ焼き食うたやろ。あれ食ったら結婚せなあかんのや。」
「け、」
「けっこん！？」
少女の言葉に一之瀬も皆も大声をあげて驚く。
「で、でもそんな話一言も…！」
「当たり前やん。そんなん言うたら食わへんかったやろ。」
焦る一之瀬とニコニコ笑っている少女。
2人の掛け合いに、雷門の選手たちは一之瀬がどんな状況に置かれているかだんだん察してきた。
「てなわけで、ウチとダーリンはここで幸せな家庭築くんや。エイリア学園がなんや知らんけど、それはあんたらだけでやってな！ほな、商売の邪魔やき、出てって！」
少女は強引だ。円堂たちは店を閉めだされてしまう。店の中からは「だからオレはダーリンじゃないって！えんどー！！」という一之瀬の悲痛な叫びが聞こえてきた。
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第54話 騒がしいお好み焼き屋 2→←第53話 そばにいてよ 2
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作者名：いわき | 作成日時：2019年7月4日 7時
