第196話 どう見えてる 2 ページ30
＊
「鬼道先輩には、本当にお世話になりました。」
灰色の廊下に２つの足音だけが響く。鬼道はじっと千鳥の顔を見つめていた。それに気付かない千鳥は言葉を続ける。
「何度も何度も気にかけてくださって。それに、沖縄で伝えたこと、皆さんに黙っててくださって…。本当に本当に鬼道先輩にはお世話になりました。ありがとうございました。」
千鳥はぴたりと足を止めて深く深くお辞儀をする。雷門イレブンで一番世話になって、実は、一番信頼を置いている人なのだ。鬼道には山のような感謝の気持ちと、別れたくない寂しさがある。そんな気持ちを精一杯伝えるように千鳥は頭を下げていた。
千鳥は顔を上げると、そこで初めて鬼道が自分を見つめていたことに気付く。「鬼道先輩？」と問いかけると、鬼道は少し慌てたように「あ、ああ。」と返した。
「…オレも、お前にはとても感謝している。オレたちを強くしてくれて、ありがとう。」
鬼道の言葉に千鳥は思わず笑顔になる。
自分が雷門イレブンの力になれていたことが嬉しいのだ。
その笑顔を見た鬼道は、急に真顔になってぐっと千鳥との距離を詰めた。
「鬼道先輩？」
「……千鳥。」
やけに吐息の多い声で鬼道は千鳥に声をかける。千鳥はだんだん頭がパニックになっていった。
「あの、本当にどうしたんですか？先輩。」
「……。」
なおも鬼道は千鳥に詰め寄る。千鳥はじりじりと後ろに下がるも、すぐに壁にトンと背中がぶつかってしまった。
何か鬼道を怒らせるようなことをしただろうか。そう思うも、鬼道のひそめられた眉は怒っているというより思い詰めているようで、千鳥はさらに混乱する。
鬼道はだんだん千鳥に顔を近付けていった。
(…ただ、吹雪とのスキンシップを見る限り、この少女にはこれくらいではノーダメージだろうな…。)
鬼道がそう思って千鳥から離れようとしたときだった。
「…千鳥？」
＊
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いわき(プロフ) - 檸檬けーき。さん» 檸檬けーき。さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです！この小説はもう完結していますが、同じ主人公が出てくるアレス版の新作を書き始めましたので、良ければそちらもご覧ください(＊^^＊) (2019年10月18日 10時) (
レス) id: b59bbba1ca (このIDを非表示/違反報告)
檸檬けーき。(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます (2019年10月18日 5時) (レス) id: 31d6ef12c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月8日 0時
