第192話 頼り甲斐のある 2 ページ19
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「ところで、急に呼び出して何の用だったんだ？」
呼び出してっつっても、この場所を選んだのはオレだけどな。と綱海は付け足した。
「わたし、もうすぐ北海道に発つので、それまでに仲間の皆さん1人ひとりにちゃんと挨拶しておきたかったんです。」
「へえー、律儀なやつだなあ。」
「綱海先輩。」
千鳥はくるりと体の向きを変え、しっかり綱海と向き合う。
「綱海先輩、今までありがとうございました！」
千鳥は綱海に深く頭を下げてお辞儀をした。綱海は頬をぽりぽり掻いて「やめろよ、そんなんガラじゃねえし」と少し困惑している。
「またいつか、絶対会おうぜ！」
綱海はニッと口角を上げると、掌を差し出してきた。千鳥も微笑み、「はいっ！」とその手を握り返す。
「実は、わたしがみんなに挨拶しているのは、礼儀としてだけじゃないんです。」
千鳥はその手を離すと、目を伏せてゆっくり話し出した。
綱海が3年生だからか、綱海の持ってる兄貴肌からか、その頼り甲斐に千鳥は少しだけ本音が溢れてしまう。
「寂しくて。わたしは1人じゃないと教えてくれたみなさんから離れるのが、寂しくて…。その寂しさを少しでもやわらげたくて、みんなに会っているんです。」
「なーんだ、そんなことか。」
綱海は千鳥に軽い調子で言ってのける。そんなこと！？と千鳥は軽くショックを受けているようだ。彼女にとっては、結構な悩みだったのだから。
綱海はガッと千鳥の肩を組む。その勢いでぐらりと体勢を崩しかけた。
「さっきも言ったろ？だーいじょうぶだ、絶対また会えるって！」
「綱海先輩…はいっ！」
綱海にそう言われると、千鳥の脳裏に今までの旅の思い出がたくさん蘇ってきた。7割くらいは吹雪のことと、孤独な自分のことだけれど。千鳥の目に少しだけ涙が滲む。
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いわき(プロフ) - 檸檬けーき。さん» 檸檬けーき。さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです！この小説はもう完結していますが、同じ主人公が出てくるアレス版の新作を書き始めましたので、良ければそちらもご覧ください(＊^^＊) (2019年10月18日 10時) (
レス) id: b59bbba1ca (このIDを非表示/違反報告)
檸檬けーき。(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます (2019年10月18日 5時) (レス) id: 31d6ef12c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月8日 0時
