第192話 頼り甲斐のある 1 ページ18
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「良いところだろ？」
綱海は広場の柵に腕を乗せ、その下を見た。千鳥も真似して街を見下ろしてみる。綺麗な景色だ。建物がミニチュアのように小さい。千鳥はその小さな街並みの中に雷門中を見つけた。鮮やかな青色の雷門中は、上から見ても目立っている。
鉄塔広場は、ほかの場所より高いところにあるからか、吹き抜ける風は清々しく、気分が良かった。
今はまだ空は青いけれど、夕暮れ時に来たらもっと綺麗なのだろう。
「…本当に良いところですね。どうして綱海先輩はここを知ってたんですか？」
「ああ、円堂に教えてもらってよ。」
綱海はそう言うと、柵から離れて近くの木の元へ歩いていった。
千鳥にはこの広場に来た時から疑問があったのだ。なぜならその木には、とても大きなタイヤがぶら下がっていたから。
「円堂はこのタイヤでキーパーの特訓をしていたそうだぜ。」
千鳥は綱海の言葉に目を丸くする。
「ええっ！？タイヤでって…一体どうやって…。」
「こうやって、な！」
綱海はそう言うと、思いきりタイヤを向こう側に押した。当然、反動でタイヤは物凄いスピードと威力でこちらに返ってくる。綱海はそれをひらりと避けてタイヤの上に乗っかった。
「円堂はこれを受け止めることで特訓をしてたらしいぜ。」
「す、すごいですね。あんなのを受け止めちゃうなんて。」
あの勢いのタイヤをさらっと躱す綱海の身体能力も桁外れなのだが。
それにしても、円堂のあのパワフルなキャッチングはこんな破茶滅茶な特訓から来ていたのか、と千鳥は妙に納得する。
(キャプテン、握力すごそう……)
綱海はタイヤの上から「よっ」と飛び降りると、タイヤに手を添え見つめた。
「ここは円堂の原点らしいんだ。アイツは悩んだ時いつもここに来るらしい。…オレにもそういう場所があるんだよ。」
「綱海先輩にもですか？」
「ああ。沖縄の灯台さ。あそこは沖縄の海がよく見える。自分の悩みなんかちっぽけに思えてくんのさ。」
綱海はにかっと歯を見せて笑った。
反対に、千鳥は少し俯いてしまう。沖縄にはあまりいい思い出がない。イプシロン改戦で吹雪が壊れてしまったこと、自分が試合に乱入しようとしてしまったこと。折角の沖縄なのに、あまり満喫できなかった。
あ、でも、と千鳥は顔を上げる。大海原中で吹雪と見た海はとても綺麗だった。
「海って、いいですよね。」
「ああ！」
綱海はぱあっと今日イチの笑顔を見せた。やはり彼は海が大好きなのだろう。
＊
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いわき(プロフ) - 檸檬けーき。さん» 檸檬けーき。さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです！この小説はもう完結していますが、同じ主人公が出てくるアレス版の新作を書き始めましたので、良ければそちらもご覧ください(＊^^＊) (2019年10月18日 10時) (
レス) id: b59bbba1ca (このIDを非表示/違反報告)
檸檬けーき。(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます (2019年10月18日 5時) (レス) id: 31d6ef12c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月8日 0時
