第191話 尊敬するあなたたち 3 ページ17
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「ところで、挨拶回りをするって言ってたよね？今日会うのってオレたちだけなの？」
立向居は腕を下げて尋ねる。その問いを聞いた途端千鳥は顔を曇らせてしまった。
「あー…実はこの後、綱海先輩と約束してるんだけど…。」
視線を下に向け、もごもご言い澱む千鳥を見て、3人は顔を見合わせる。木暮が「綱海さんのこと嫌いなのか？」と尋ねた。
「ううん、そういうわけじゃないんだ。…ただちょっと、苦手というか。慣れないんだ、白恋中の先輩たちにああいうタイプの人っていなかったから。」
そう、千鳥はああいうノリノリでイケイケな人とはあまり交流がなかったのだ。どうしても対応に困ってしまう。綱海のことは全然嫌いでない、むしろすごく素敵な人だと思っていた。
千鳥の言葉に3人はなるほどなと言った様子で頷く。壁山が「大丈夫っスよ、綱海さんなら適当に喋ってても何とかなるっス！」と千鳥を元気付けた。
「…あははっ、そうだよね！それじゃあ、わたしはそろそろ行くね！今日はありがとう！」
彼らと過ごしていたら、自信なようなものが湧いてきたのだろうか、千鳥は笑顔を取り戻す。
(きっとなんとかなるよね。綱海さんだって悪い人じゃないし。)
千鳥は3人に手を振って部室を後にした。向かう場所は稲妻町の鉄塔広場だ。
・
少女が消えた部室で、壁山は「オレたちもそろそろ帰るっスか」と尋ねようとした。そのとき、とある人の様子がおかしいのに気付く。
「…どうしたんスか？立向居くん、変な顔してるっスよ。」
「えっ！？いや、別にそんなことはっ…。」
立向居がむすっとした表情でドアの先を見つめていたのだ。さっきまでは雷門中の部室が見れると目をキラキラさせていたのに、今はどうにも不機嫌そうだ。
口をきゅっと横一文字に結んで眉をひそめる立向居に、木暮はキラリと目を光らせた。
「ははーん、立向居、お前まさか…」
木暮はニヤニヤとした顔を立向居に近付ける。慌てて立向居は「こ、木暮くん！違うからね！」と両手をぶんぶん振って否定した。けれどその顔は耳まで真っ赤で説得力はない。
木暮は面白いこと見つけた、とでも、言わんばかりに「うっしっし、そうかそうか〜」と笑っていた。
「……どういうことっスかね？」
1人、全く状況を察せない壁山だけが、キョトンと首をかしげるのだった。
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いわき(プロフ) - 檸檬けーき。さん» 檸檬けーき。さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです！この小説はもう完結していますが、同じ主人公が出てくるアレス版の新作を書き始めましたので、良ければそちらもご覧ください(＊^^＊) (2019年10月18日 10時) (
レス) id: b59bbba1ca (このIDを非表示/違反報告)
檸檬けーき。(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます (2019年10月18日 5時) (レス) id: 31d6ef12c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月8日 0時
