第190話 人間の美しさ 1 ページ13
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なんとか予定の電車に乗り込むことができ、到着した場所は世宇子スタジアム。
首を折って空を見上げる。本当に空に浮いていたんだ、と千鳥は感歎の溜息をついた。
世宇子スタジアムの外観は、まさにローマの歴史的建造物のようで見ているだけで面白い。ゆっくり見物したいところだけど、今日の目的はそれではないのだ。
スタジアムの中に足を踏み入れると、わあわあと声が聞こえてきた。世宇子中の選手たちが特訓をしているようだ。その中に目的の人物はいた。
千鳥は近くのベンチに座って練習がひと段落するのを待つ。ついでにタオルやドリンクも準備しておいた。しばらくすると、汗を手首で拭いながら、その人はこちらにやってきた。綺麗な金色の髪が歩くたび優雅に揺れる。
「練習お疲れ様です、アフロディさん。」
「ごめんね、お待たせしてしまったかな。」
アフロディは千鳥を見つけると、「久しぶり」と柔らかく微笑んだ。
世宇子の選手たちにタオルとドリンクを渡した後、千鳥はベンチでアフロディと2人で話をした。
「そうか、じゃあもうすぐ北海道に帰ってしまうんだね。」
「はい。だからその前に、ちゃんとお礼を言っておきたくて。あのとき、本当にありがとうございました。士郎くんが今の士郎くんになれたのも、アフロディさんのおかげです。」
千鳥は深々と頭を下げる。「よしてくれよ、そんな大したことはしてないさ。」という穏やかな声が頭上からかかった。
「でも、そうか。彼の再生の力になれたのなら良かったよ。…けれど彼が今まで頑張ってこれのは、君の力が大きいと思うよ、千鳥さん。」
アフロディは千鳥をじっと見ると、目を少し細めた。美人に見つめられて、千鳥は少し緊張してしまう。
「そんなことないですよ。……って、今までなら謙遜してたかもしれません。でも、敢えて言わせてください。わたしも、士郎くんと戦ってたんです。」
千鳥はニッと笑って、しっかりそう言い切った。アフロディは嬉しそうにうんうんと頷く。
「うん。知っていたよ。戦う君の姿は美しかった。」
「うつく、え、えっ！？」
唐突なアフロディの言葉に千鳥は目を丸くして、ついでに顔も赤くしてしまった。けれどアフロディは平然としてるから、恥ずかしがるのが間違ってるのかもしれない。神様的言い回しなのだろうかと考えて、千鳥は熱い頬をなんとか冷まそうとした。
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いわき(プロフ) - 檸檬けーき。さん» 檸檬けーき。さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです！この小説はもう完結していますが、同じ主人公が出てくるアレス版の新作を書き始めましたので、良ければそちらもご覧ください(＊^^＊) (2019年10月18日 10時) (
レス) id: b59bbba1ca (このIDを非表示/違反報告)
檸檬けーき。(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます (2019年10月18日 5時) (レス) id: 31d6ef12c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月8日 0時
