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す、と出されたのはオレンジ色のカクテル。これがスクリュードライバー。
「いただきます。」
思っていた以上にすっと飲めるカクテル。度数高い感じもそんなにないけど高いんだろうなぁ…。
「美味しい。」
「あ、ほんま？良かった。」
こうやって２人でご飯に行ったりお酒飲みに行ったりはしてきたけど、改めて考えるとプレゼント渡したのは今日が初めて。…まあそりゃあ、単なる会社の先輩後輩なんだからそれが普通と言えば普通。
…先輩後輩じゃない関係になりたい、なんて思ってはいるけど勇気は出なくて徐々に距離を詰めていくしかできない弱気。いつまでこうやって一緒にご飯とか行けるんだろ、志麻さんに彼女が出来たら無理だもんね。
「どしたん、俺とおるのに考え事？」
「…その台詞似合う人初めて見ました。いえ、大したことではないので気にしないでください。」
顔がいい人って何言っても似合うんだなぁ。惚れた欲目も少しは入ってるけどそれでも似合う。うーん、ズルい。
「うわ、さむ…。」
「風邪冷たいですね…。」
会計で奢るとお互いに譲らなくて割り勘したのは思い出したら少し面白い。誕生日位奢らせてほしかった。
いつもよりお酒を飲んだからか足取りが少しふわふわしてる。この感じ久しぶりだなぁいつもはこんなになるまで飲まないし。
寒い寒いと言いながら歩いていたらすぐに駅についてしまった。方向が違うから駅で分かれる。明日も会社で会えるけどやっぱり分かれるときは寂しい。
「今日はほんまにありがとうな。嬉しかった。」
「喜んでもらえて何よりです。当日の明日にも言わせてもらいますけど、誕生日おめでとうございます。」
「ありがと。」
じゃ、と分かれ際に志麻さんから言われたのは俺が送ったカクテルの意味、興味あったら調べてみて。そんな言葉。カクテル言葉？
電車に乗ってカクテル言葉を調べれば、家に帰ってからにすればよかった、そんな気持ちでいっぱいで。最後までズルいなぁ。
次の日の会社でにっこり笑う志麻さんに顔を真っ赤にしたのはまた別のお話。
あなたに心を奪われた。
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