秘められた言葉 蒼 ページ6
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気になってる人。１つ年上の先輩。
頑張って頑張って違和感ないように諭られないように、徐々に徐々に詰めていった距離。もしかしたらバレてるのかもしれないけど。好意にはすごく鋭そう。
２人でご飯に行くくらいには仲良くなれたと思ってる。相手がどう思ってるかなんて分からないけど。少しくらい一緒にいて心地いいって思ってもらえてたらいいな。
「あ、いいお店教えてもらったんですけど今度どうですか？」
「お、ええやん。」
こうやって誘えば嬉しそうに笑って返事をもらえるって結構イイ感じ、だよね？お互いにお酒飲むのが好きで良かった。こうやって飲みに誘えるんだから。
仕事終わりに駅近くで待ち合わせをしてスマホの地図アプリとにらめっこしながら案内したのはおしゃれなバー。一応来るの２回目だけどおしゃれでちょっと敷居が高い。
慣れてるのか行こ？と言われればはい、と頷くしかない。こんなおしゃれなお店初めてだ。志麻さんは似合うなぁ。
２人並んでカウンター席に腰を掛ける。穏やかそうなマスターっぽい人にどうされますか？なんて聞かれて頭の中で急いで知ってるカクテルの検索をかけた。そもそもそんなに知識ないけど。
「俺はジントニックで。」
「えっと、スプモーニお願いします。」
度数がそんなに高くなくて、とりあえず飲みやすいお酒。確かバーは最初はロングカクテルの方が良いって聞いたことある。理由は忘れたけど。
「イイ感じの店やん。」
「この前探してたら同期が教えてくれたんです。」
お昼食べながらスマホ片手にひたすら検索してたら声かけてくれた。そんなにお酒飲まないって聞いてたからどうやって知ったんだろ。
「へぇ…。俺も知ってる人？」
「志麻さんとこの前企画一緒だったはずですよ。」
「あぁ、アイツか。へぇ、仲ええんや。」
「案内しといてなんですがこんなおしゃれなところ来たことなくて緊張してます。」
「へぇ。」
面白いものを見つけたとでもいうように笑う志麻さん。そりゃあ、志麻さんだったら来慣れてるかもしれないけど…。
「バーはお酒作ってんの見れるん楽しいよな。」
「それはそうですね！」
マスターの手が滑らかに動いてお酒が作られていくのを見るのは楽しい。こういう技術っていくら見ても飽きないからまたすごい。
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