December 1【sm/コラボ】 (ページ5)

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結局のところ、私は怖かっただけなのかもしれない。

　私が彼に向ける感情と、彼が私に向ける感情に差異があることが。

　逃げたかった。長い恋の終焉を自分から迎えてしまう事から。だって、想いさえ伝えなければ、私はいつまでだって貴方に恋をしていられた。初恋の甘い部分だけを吸い続けていられた。少しでもそれが損なわれる可能性があるのならば、逃げ出してしまいたかった。

本当は、貴方の幸せを貴方の隣という特等席で共に歩んでいきたいと願わずにはいられなかった。それが現実の私の回答だった。そんな汚くて自分本位な醜い私を彼に知られたくなかった。だから私は私すらも騙そうとしていた。その癖、ピアスを最後の誕生日プレゼントにするだなんて。

「・・・はあ、今日のお前ほんま読めんわ。急に突き放したと思ったら今度は告白て・・・。勘弁してくれ、俺の心臓潰す気か。」
「・・・ごめん。」
「Aが突飛的なのは今に始まったことやないからええけど。・・・本当は俺、卒業したら言おうと思っとったことがあるんよ。今、聞いてくれんへん？俺もたった今伝えたくなったわ。」
「・・・なに？」

「俺と結婚を前提に付き合ってくれませんか？」

　ああ、どうしてこの人はいつも欲しい時に、欲しい言葉をくれるのだろう。

「・・・・私と結婚したら、志麻は幸せですか？」
「なんの心配やねん。幸せに決まっとるやろ。やかましいわ。」

　顔を真っ赤にして、恥ずかしさを誤魔化す様に茶化す彼。・・・ああ、卒業しても私たち二人は案外何も変わらないのかもしれない。変わったのは、私と彼の関係を示す名前だけだ。

「・・・・私が志麻を必ず、幸せにします・・！！よろしくお願いします！」
「やからそれは俺のセリフやろが！！ああもう！！こちらこそよろしくお願いしますっ！！」

　幸せに、なろうね。