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何故か外に出たまま帰ってこない志麻君を、不思議に思い玄関まで向かう。
ドアの外から聞こえるのは志麻君の声で。
「…う。頑張る……ありが……」
「え、電話?それとも誰に持ってきてもらったの?」
何してるんだろうと思い、ドアスコープから外を覗けば
スマホを耳に当ててる志麻君の姿が。どうやら誰かと電話してるみたいで
そしてその手にはラベンダー色の包み紙。いや、ホントいつ持ってきたの…?
なんて思っていると、ドアが開いた。
「うわっ、びっくりしたー…待たしてもうた?」
「ごめんごめん。いや、それは全然いいんだけど…どこ行ってたの?」
「どこも行っとらんよ。ちょっと電話来ただけや。」
「え、いやそれ…」
「ん?メーターボックスに隠しちょった。」
それはえぇから奥行こ。寒いやろ。なんて言いながら私の肩を押す志麻君。
いや、メーターボックスにって……それ中身何?ちょっと怖いんだけど…?
志麻君が両手で抱えてるほどの大きさのそれの中身を考えながらソファーに座る。
「んじゃ改めて…誕生日、おめでとうな。」
「ありがとー」
「ってわけで、これプレゼント。」
「開けて平気なやつ?」
「当たり前やろ、変なのじゃないから安心して開けてや。」
笑いながら促してくる志麻君。
テーブルの上に置かれたソレ、持ち上げて見ると結構な重さで…ホントこれ中身何?
恐る恐る、包み紙のリボンを取れば。そこから姿を見せたのは綺麗な包装を施された鉢植えだった。
「……お花?」
「おん。カランコエって言って俺らの誕生花なんやって。」
「へぇ…可愛い……」
小さな白い花が集まっていて、すごい可愛い…可愛いんだけど。
志麻君が誕生花ってだけでこれを送ってくるわけないだろうし…何があるんだろ。
なんて考えている様子を見て、志麻君はオロオロしてる。
「何でそんな顔しとるん?気に入らんかった?」
「へ?違う違うっ!志麻君がお花ってのが意外過ぎて…そのね?」
「おう。」
「他に何かあるのかって考えてた……」
「……ホン、鋭いなぁ。」
あー…と唸りながら、髪をかき乱している志麻君。
え、何?何事?と思っていると鉢植えにリボンでくくりつけられている…箱。
…ずいぶんと遠回しに2品目来た…んだけど、待ってね?この大きさって。
「…あんな。ぶっちゃけ、毎年言おうとしてたんやけどな。」
「う、うん……」
「………好き。お前のこと。」
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