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ばたばたと慌ただしい玄関先から志麻くんが帰ってきて。上着やら荷物やらを置いて洗面台に行ったのを見送った。
「ただいまぁ。」
「おかえりなさい。今日もお疲れだね。」
疲れたって言いながら配信してるんだから凄いよねぇ。パラライの方もあるわけだし。うーん、体力あるなぁ…。
「腹減った。」
「すぐ用意するから座って待ってて。」
急いで冷蔵庫からお造りやサラダを出していく。おぉ、と嬉しそうに笑う志麻くんを見ながら最後にそっとワインを取り出した。
「めっちゃ美味そう。」
「今日は乾杯しようね。」
そっと自分の背中で隠してたワインを出せばぱちくりと志麻くんの目が開いた。
「それ、ツイッターで見たやつや。ほんまにめっちゃ紫やな…。え、用意してくれたん!?」
「志麻くんカラーだから。」
「めっちゃ嬉しい…。」
用意してたグラスに注いで、かつん、と乾杯。辛口で美味しい。そんなに度数高くないから飲みやすい…。
「うまぁ…。」
「喜んでくれてよかった。」
こっちも食べて、とお造りを勧めれば気に入ってくれたみたいで箸が進んでいく。高知出身でおさかな結構食べてきた志麻くんに美味しいって言ってもらえると安心する。
「ケーキもあるから楽しみにしててね。」
「めっちゃ俺のこと甘やかしてくれるやん。太るわ。」
「太ってもカッコいいから大丈夫。」
「嬉しくないわ。」
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