むすんでほどけて【コラボ企画】 (ページ14)

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薬の秘密＊棘ページ14

皆様、はじめまして。
私この屋敷で侍女として、お勤めしておりますリリーと申します。

私のお仕えするAお嬢様は、小さい頃からお身体が弱く、ご自身で歩くことさえ難しい状態です。

そんなお嬢様を、いつもお近くで献身的に支えてお世話をされている方がいらっしゃいます。

お嬢様付きの執事の志麻様。

お二人とも整った顔立ちをされていらっしゃるので、
お二人で屋敷内を歩いていらっしゃる姿は、とても画になります。

志麻様はいつもお嬢様を案じておられ、いつもお優しく接しておられます。

お嬢様も志麻様のことを信頼していらっしゃるのでしょう。

志麻様の前では、とても安心した優しい顔をしていらっしゃいます。

誰がどう見てもお似合いのお二人。

先日、私はお二人のとんでもない一面を見てしまったのです。

あれは、たまたま私が志麻様の代わりにお嬢様のご夕食のご準備をしていたときです。
その日志麻様は旦那様に同行され、街へと出られていらっしゃいました。

前述した通り、お嬢様はお身体が弱くいらっしゃいます。
ですので、食後は沢山の種類のお薬を飲まれていらっしゃいます。

お薬とお水を、食器類を片したテーブルへ置くと、お嬢様が「あれ？」という声をお上げになりました。

「どうかなさいましたか？」

いいえ。うん。ええっと...。
歯切れの悪い言葉を紡がれるお嬢様。

お嬢様曰く、１つお薬が足りないとのこと。
そう聞いて、もう一度お薬の一覧を確認したけれど、間違いありません。

「お嬢様、間違いないと思うのですが...。」

お嬢様は納得がいっていないご様子でした。
お嬢様のいうそのお薬は、緑色をしているとのこと。

「あの薬を飲まないと、志麻に怒られてしまいます。」

また明日志麻様に聞いてみよう。
そう思って、その日はお嬢様のお部屋を後にしました。