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私の家からそう遠くはないあの店。
歩いて10分ほどで到着するぐらいの近さ。
私の家から15分ほど歩けば繁華街へと繋がるが、その繁華街の手前に、まるで見捨てられたかのようにポツンと佇んでいるのがあの店だ。
合コンの会場ではなければ、今頃通いつめるぐらい雰囲気は好みだった。だが、またあの人に会うのではないかという怖さから、合コン以降は1回も足を運んでない。
＊
｢…着いた｣
今の季節は夏真っ只中。夜でも暑さの鬱陶しさは変わらない。少々汗をかいてしまった。こんなことになるならタクシー使えばよかったかな。そう思いながら友達に電話をかけた。
｢着いたよ、もう中入ってる？｣
｢ごめん、今タクシー捕まんなくって！…あ！来た来た！！すいません乗りますっ！！！……今捕まえたからあと10分くらいで着く！ごめん待ってて！！なんか頼んでてもいいし！！あっ！すみません、〜〜〜までお願いします！｣
了解でーす、と運転手の声がかすかに聞こえた。
｢わかった、じゃあ先入って待ってるね〜｣
了承の言葉を聞き、電話を切った。バイトだったのだろうか。
あんなに慌てるなら19時じゃなくて余裕を持てる時間でも良かったのになぁと思ったけど、あの子のことだからなんにも考えず、夕飯時間帯だからという安易な理由で決めたのだろう。
まぁ、そういう天然で取り繕っていない感じがあの子の好きなところだ。
｢あっつい｣
電話を切ってから何分店の前でつっ立っていたのだろう。体から水分が全部出てしまうんじゃないかという程の汗。
｢中入るか｣
―ガラガラと扉を開け｢らっしゃっせ〜｣という声と共に冷たい空気が私を歓迎した。
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作者名：shima | 作成日時：2024年2月16日 13時
