この男、危険につき。 (ページ7)

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あの日。｢友達になろう｣と催促された日。
結論から言えば何も無かった。返事もできず固まってる隙に、私の鞄からスマホを取りだし勝手に連絡先を追加していたけれど。デリカシーもクソもない。

｢じゃあまたね、Aちゃん。｣

そう言って暗闇に吸いこまれて姿を消した。

＊

本当に消えちゃったのかというくらいに、その日から音沙汰なかった。気まぐれだったのか、それとも私の反応を面白がりからかっていただけなのか。

もしかして本当は連絡先なんて交換してなかったんじゃないかと考えたりしたが、｢イジェノ｣とありありと表記された文字を見れば、そんなヤワな期待は弾けていく。

音沙汰ないとはいえど連絡先を知られてしまったからには100パーセント安心なんてできず、携帯から通知音がする度にびくびく体が震えた。恐る恐る通知を見てあの人ではなければ安堵のため息をこぼす。それが毎日だ。まるで借金取りに追われているかのような気分。

もういっその事、電話番号を変えてしまおうかとも考えたが、家族、友達、そして色んな契約諸々を全部この番号で登録している。いちいち変更するのも大変だし手間がかかり面倒くさい。

だけど、こんな日々が続くとなると私の心身の健康に害を及ぼしかねない。