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｢ごめん、もう帰るね｣
｢えぇ〜なんでよぉ〜｣
｢△△も帰ろ？｣
｢いやぁあ〜〜だ♡絶対一人はお持ち帰りするのぉ〜♡｣
なんてごにょごにょと語尾にハートつけて気持ち悪い喋り方をする友達。いつの間に頼んでいたのか、友達の前には半分しか残ってないお酒があった。酔っ払ってしまったのか。私よりも1年産まれたのが早いからって調子に乗りやがって。
置いていくのは心配だが、そんなことを言うのならば、こちらは知ったこっちゃあない。自分のことは自分で守れ。あばよ。
財布から5千円を抜き出し、友達の手に握らせ、帰ろうと立ち上がろうとしたその時。
｢帰るの？｣
優しい声色なのに、どこか不気味さを含んだ声が私の耳に木霊した。瞬時に脳内の警戒アラームがけたたましく鳴り始める。
立ち上がろうとした足が瞬間冷却されたかのように動かなくなった。
やばい、気づかれてしまった。いや、さすがに気づくか。目の前だもん。と頭で冷静な自分が突っ込む。だがしかし、そんな場合では無い。どうすればいい？？どうやったら逃げられる？？中身のない頭で思考を巡らせてもいい案が全く思い浮かばない。
｢Aちゃんが帰るんなら俺も帰ろうかな｣
｢まっ、まって、ください。か、帰るってどこに？｣
｢？？家以外にどこにあるの？｣
そりゃそうだ。人を見た目で判断するなと叩き込んだばかりなのに。だけど……
だけど、この人は身のこなし方も振る舞いも全部が危険人物そのものだ。そちらの方向に考えが靡いてもおかしくない。あぁもう、キャパオーバーだ。
｢そ、そうですよね。で、でもジェノさんはそのままいた方がいいのでは……？だってその……こっ、恋人！！見つけに来たんでしょう……？｣
｢…………｣
｢で、では、さよならお元気で｣
顔も見ずにそう告げて一目散に出口へと足をはやめた。
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作者名：shima | 作成日時：2024年2月16日 13時
