この男、危険につき。 (ページ20)

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「なんか……慣れてんね。」

「怖い」

「でも、行った方がいいと思うよ、あの人のこと少しでも知るためにね。それがAのため」

「私のためになるかなぁ？ほんとに。」

「なるよ、絶対なる」

「えぇ……一緒に行こうよ」

「なんでよ、嫌よ。誘われたのあんたじゃん」

「薄情者め。さっき名前呼ばれて照れてたくせに」

「それとこれとは話が違う。あんなイケメンに名前呼ばれたら仏でも照れる」

そんなことをいいながら力説する彼女を横目に、さてどうしたものかと焦る。いいとも嫌だとも言っていないのに行かなければならないという事実に発展してしまい、頭を悩ます。まぁ別に嫌でもなかったし断る理由もなかったけれど講義室であの子から聞いた話が頭をよぎる。気をつけた方がいい、手遅れになる前に。

そんなこと私がいちばんわかっている。でも逃げようと足を踏み出しても手を掴まれてしまのだ。彼に。