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あの後、結局私の連絡先を教えてしまった。
私は、自分自身をどん底に突き落とすようなことをする馬鹿な女だったらしい。
「じゃあまたね、Aちゃん」
講義終了してすぐに鞄を肩にかけて颯爽と去る彼。その一連の行動ですらかっこいいのが癪に障る。
「ねえねえ」
急に後ろから肩を叩かれ振り向くと、これまた可愛らしい女の子。ピンク色が華やぐメイクをしてThe女の子というような格好をしている。私はといえばフーディにジーンズのメンズよりの格好。こんなにタイプの違う女の子が私に話しかけたのは何故だ、そう考えるまでの思考回路は5秒にも満たなかったと思う。
「ジェノと知り合いなの？」
その可愛らしくポテッとした唇が紡いだのは彼の名前だった。嫌な予感がする。
「知り合い、というか……ん〜」
「え、何セ フレ？」
可愛らしい見た目からは想像もつかないような発言に目を見開いた。
「ち、違う！！！」
「ふ〜ん、そっか」
「な、なんでそんなこと聞くの」
「あ〜、あの人は危ないよって伝えたかったの」
「え？」
「ああいういかにもいい人そうな見た目しながらやってることは最低最悪のクズ男だよ」
ギャップという言葉が一番似合うよ、この子。
「なんでそんなこと知ってるの？」
「あ〜、私あの人のセ フレだったから」
……聞かなければよかったと、後悔。
「そ、そうなんだ……」
「うん、だからやめた方がいい。体からの付き合いになれば男はその女を恋愛対象として見ないよ。」
「別にイジェノさんとどうこうなるつもりはないですよ」
「あははっ！そう言っていられるのも今のうちだよ、てかもう君、どっぷりハマってるじゃん。ジェノに。昔の私見てるみたいだよ」
傍から見た私はそう見えるのか。
言葉にされるとよりくるなぁ。
わからないといいつつ、実際のところは彼が気になって仕方がないことなんて、何年も私は私をやってきたのだから薄々気づいている。
でも気づきたくなかったんだ。
だってこの女の子が助言したことには既に気づいてるから。
あの人に嵌ったら危険だということに。
でも抜け出せない。あの笑顔に、あの骨ばった腕に、手に、優しい声に、私を溶かすように見つめる視線に。
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作者名：shima | 作成日時：2024年2月16日 13時
