僕らがもう一度笑える日【志麻】

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家に着くやいなや、ソファーに腰掛けた。

Aの笑顔がフラッシュバックする。あの嘘偽りのない笑顔を愛していた。

それを手放すなんてことはできっこない。


───じゃあ、志麻リスを捨てろと？
そんなの無理だ。皆んなが喜んだ顔をすると本当に嬉しくなる。


どちらかを選ぶなんてできる訳ない



Aが記憶喪失を起こした時、全てを失った気がした。
それから目を覚まして、初めはあんな風に見られてたけど、少しずつ笑ってくれた。

それが、本当の幸せかどうかは解らないけど、Aが居れば笑うこともできた。


じゃあ、どうしてA？どうしてAが記憶喪失になった？
記憶なんてあやふやな物を大切にして…。


目に見えない何かに縋って安心したい。消えないものに憧れを持って何が悪い？


そんな事ばかり考える自分が、情けなくて。でもそれでもまだ、Aが好きだ。



こんな事1人で考えていても一向に答えが出ない。とりあえずメンバーに相談することにした。
その後まず、うらたさんに連絡して、そしたらうらたさんは全員を呼んで家に来てくれた。




落ち込みに落ち込んだ俺を見て、3人は本当に驚いていてそれと同時に心配の眼差しを向けられた。



「…どうしたん？まーしぃ？」


「…………………」


「言ってくれんと分からんよ…？」




優しくセンラに諭される。






「……あのな」







言う覚悟。それがすべての解決の、糸口になることを願って。

治らない、鼓動を意識し俺は口を開いた。



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