【D!】犬か、人間か。【男主】 (ページ6)

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ゾム視点

迂闊やった

今日朝からグルッペンが脱走したことに気がついたがいつものことだし、夕方までには帰ってだろうと追いかけはしなかった

けど、グルッペンはいつもの帰ってくる時間を過ぎても姿はない

流石にグルッペンがいないことに幹部全員が気づき捜索していた

今俺がいるのは森、夜目が利くためこの薄暗い森の中を何不自由無く走れるがどこを探してもいない
今のところ国の外に連れ去られたような情報は一切無いから
この国にいないとはない

ゾ「ホンマどこいってんあいつ……っ」

時間が一刻一刻と過ぎていく無情さと追いかけなかった自分の阿保さに苛立ちを隠せなかった

けれどそんな懺悔している暇はない、一刻も早くグルッペンを見付け出さないと

ゾ「もっと奥まで行って探さんとあかんな」

そう言ってまた意識を集中させる

何かがこちらに近づいてくる

殺気は感じられないので敵がこっちに気がついたわけではなさそうや

けれど油断は禁物、気配のする方向に目を見張りいつでもナイフを出せるようにする

ガサガサッ

『クゥン』

ゾ「は？」

身構えたところに茂みから出てきたのは少し幼さを感じる何かをくわえ、首からドックタグをさげた犬だった

ゾ「軍用犬……ではなさそうやな」

訓練されてるようでもなければ野犬でもないやろう、迷子か

だけど今はどうでもいい、早くグルッペンを見付けないと
そう思い、再び森の中を捜索しようとした

『！キャンッ』

それに気づいたのか犬は足元まで走ってくると、ぐるぐると周りはじめた
そして加えていた何かを俺に渡そうとしてきた

ゾ「今お前に構ってる暇は……」

構っている暇はない、そう言いかけた時に犬のくわえているものを見て目を疑った

金の装飾が施され、黒いラインの入った十字架型のネクタイピン

いつもアイツがつけていたから間違いない、これは

ゾ「グルッペンの……？！！おいお前！！これどこで見つけた？！」

俺が犬に問いかけるとネクタイピンを渡し、ついてこいと言っているようにこちらを見て来た方向へと走り出した

犬が俺の言葉を理解しているのかは分からなかったが行ってみなきゃ分からない

そのまま俺は犬を追いかけた

グルッペン、無事でいてくれよ