【D!】犬か、人間か。【男主】 (ページ4)

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途中転んだが痛みを知らんぷりして、ひたすらに前だけを見て走った。

走ってきた時間は短かったのか長かったのか、どちらの区別もつかぬまま俺は池の辺についていた。

そこそこ大きい池はまるで映画に出てきそうなくらいに綺麗だった

『(ついた……)』

少しおぼつかない足取りで一歩一歩池へと近づく

水を飲むべく水面に顔を近づける

そう、必然的に俺は自然にできた鏡で自分の顔を見てしまったのだ

水面に映る黒い毛並みの“犬”の姿を。

『(……おい、嘘……だろ…？………っっ……あぁ…………最悪だよ…………っ)』

よく考えてみれば違和感は目覚めた時からあったのだ、やけに聞こえる風の音、特に水の匂いを嗅ぎ分けるなんて普通に生きてきた人間にできるだろうか？

それに声が出ないのも喉が渇いてるんじゃない、最初から人間の声が出る声帯なんてありはしないのだから

段々と気づきたくなかった事実に直面せざるを得なくなった。

神様がいるのなら、そいつはなんて残酷で冷酷なのだろうか
俺がいったい何をしたというのか

そんな俺は

『ｷｬﾝｯｯｯ！！(なんっっっっっで“柴犬”なんだよ！！！！！！しかもまだ子供っぽくないか？？
かわいい面してんなぁ？！！！！シェパードとかかっこいい犬のが良かったわ！！！なんでわざわざ生存率低そうなやつにしたんだよ！！！)』

と、可愛らしい声とは裏腹に謎の怒りに満ちていた。

色々ありすぎてもう冷静になってきた。

『(このままでは餓えが怖いな……いや、待てよ、自然に限らなくてもいいのでは……？ぼちぼち可愛い見た目をしているんだ、可愛い少年少女か優しいお年寄にでも拾ってもらうか！！いい考え！！)』

犬になったからか分からないが単純明快な考えを出していた

『(そうなると人間を探さないといけないなぁ……街とか山小屋とかとりあえずみつけよう)』

ガサッ

俺の気持ちが通ったのか早速人の気配、不幸中の幸いってやつか

？「犬？」

音のする方向に目を向けると声は低く、どことなく水の中にいるような落ちついたトーンで喋る人物

蜂蜜の色をした髪色を片方は目が隠れるほどの長さでもう片方は無造作にかきかげられ、黒をベースとした軍服をしわ無く上品に着こなされている

そして

人を殺しそうな目付きをした真夏の日差しの強い青空の色のような深く濃い青色の瞳をした男がそこにいた。

『(前言撤回。)』

めっちゃ怖そうな人来た。

助けてくれ。