【D!】犬か、人間か。【男主】 (ページ3)

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おはようございます。Aです。

挨拶は大事だと先生に習いましたからね、しっかりしておかないと。

だがしかしそんな呑気な挨拶を言うには程遠いの状況なんですよ

『(ここはどこだろうか……………)』

そこは一番最後の記憶とは異なる肌寒い森の中だった。
喉が乾いているせいか声が出ないらしい、これでは助けも呼べないではないか。

なんて運のないことでしょう

いやそもそも人生終わってるから運なんて関係ないか？？？
それかあれは夢だったのか？？？

…………どちらにせよムカつくことこの上ない。神がいるならやつに文句を言いたいぐらいには。

まぁ考えたって埒が明かないのでとりあえず行動を起こさねば、森の中だし川とか池とかあるだろう喉が渇いて声も出ないんじゃ話にならない。

どこも怪我がないらしく何不自由無く身体を起こし立った。

視界が低い以外

『(は？？？？？？)』

待ってくれ、なんで俺の視界はこんなにも低いんだ……？
確かに背は低い方ではあるがここまで低くはないぞ？？？
20年以上も共にして来た体のことは自分が良くわかっているはずだ……よな？？？
世界はこんなにも大きかったのか？？？それはすごいな、新発見だ！！！！！！これは某ネズミ楽園もびっくりだ！！！！！！

やけくそになった思考を巡らせながらやけくそに足元に視線を向けた

そこには想像していたのとははるかに違う黒い毛色で
少し土で汚れているがもふもふとした動物の足があった

それは自分の思考をより混乱させるには困らなかった。

『(……待て待て待て待て待て待て待て？！？！？なんで動物の足が？！？？！
俺は人間だぞ？！？！めっちゃもふもふしてるし？！？？！
………………あーーーーーーーいや待てよこれは何かのブーツだ、うん、そうにちがいない、それにしてもとてもいいけなみだからたかいんだろうなｿｳﾀﾞﾛｳﾅ)』

いっそう混乱した頭は遂にオーバーヒート。
普通に生きてて感じたことのない恐怖心と不安感に駆られ、いつの間にか俺は風に乗って流れてきた水の匂いのする方向へと走り出していた。

『(…………なんで水の匂いなんて分かったんだろ…………あぁもう考えたくない………………近かったんだよきっと……)』

走っている感覚や沢山の木々が入る視界、鼻をくすぐる水の匂いその全てが生きている証なのに

俺にはそれが、ただ不安感をより感じるものにしかならなかった。