95馬鹿 頼りないなんて思うわけがない ページ45
「……彼女に手ェ出したらぶっ飛ばす」
「!!……ハハッ、随分とAに入れ込んでんだな……分かってるよ」
「おい、何話してんだ?」
鉢屋とディーノさんはボソボソと話しているようだがあいにく聞こえない為私はハテナマークを浮かべて二人に聞くが結局なにも教えてくれなかった。
何を話していたんだろうか。
「まぁいいや、てか鉢屋はこんな時間に何をしてたんだ?消灯時間は過ぎてるだろう?」
「!……散歩?」
「今の間は何だおい!……まぁいっか、他の先生には内緒にしといてやるよ……じゃあな」
「あぁ……って何でディーノがA…先生と同じ方向に行こうとしてんだよ!!」
「ん?ディーノさんは私のボディーガードを頼んであるんだ、家の近くまでだがな」
「はぁ!?聞いてねぇよ!」
「言ってないからな……言っておくが着いてくるなよ、お前まで危険な目に遭わすわけにはいかないからな」
私がそう言うと鉢屋はとても不機嫌になり顔を歪ませた。
あ、これはまた面倒な事になったぞ。
「何だよそれ……俺には何も言わなくて見知らぬ男の手に頼るのかよ!」
「鉢屋、そう言うわけじゃ」
「いつもいつも!アンタばかり危険な目にあって俺はそれを見てるだけ!そんなの耐えられない!なぁ、俺はそんなに頼りないか?」
鉢屋の普段の一人称は"私"だが感情が高ぶると一人称が"俺"に変わる。
鉢屋は天才だが、人よりメンタルが弱い。情緒不安定になったか。
「ディーノさん、少し席を離れてくれませんか?」
「……あぁ」
ディーノさんは私の願いを快く聞き入れその場を離れてくれた。
彼がその場を離れたのを見とどけた後、私は鉢屋を優しく抱きしめる。
鉢屋は私の行動に驚いたのか数秒の間固まった。
私達は学校の中、その付近での接触を禁じている。その約束をとりつけたのは私だ。
そんな私からの抱擁なのだから驚くのは当たり前だろう。
「A……?」
「三郎、私はお前を頼りないなんて思ったことは一度たりともない……今回言わなかったのは心身共に疲弊しているお前を不安がらせたくなかったんだ……分かってくれるか?」
「……」
「三郎がいなくなったりしたら私は生きてはいけない……お前には傷ついてほしくない、だから言えなかった……しかし、そのせいでお前を逆に心配させてしまったな、本当にすまない」
「A……私もごめん」
三郎は私の背中に手を回しきつく抱きしめた。
彼の暖かい体温をこの身に感じながら私は少しの時間を過ごす。
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長月シキカ(プロフ) - ますしんさん» コメントありがとうございます!私もどちらも好きなのでつい書いてしまいました。苦手な方のほうが多いと思っていましたのでこのようなコメントをいただけて本当に嬉しく思います!これからも頑張りますね! (2016年6月25日 19時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - まさかのリボーン!? 驚きました!!どちらも好きなんです!更新頑張ってください!! (2016年6月25日 19時) (レス) id: 9d35f6ecdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年6月22日 1時