８２馬鹿 恋人が傷つく姿をみるのはツライ ページ32
鉢屋の話を最後まで聞いた私は怒りと鉢屋を守れなかった悔しさで握っていた拳に力がこもる。
痛いが、鉢屋が受けた傷の方が痛いはずだ。
拳の間からタラリと赤い液体が流れる。
「A……血が」
「そんなのどうだっていい、お前の方がこの何百倍痛かっただろうに……ごめん、助けてあげられなくてごめん……!」
「……A」
鉢屋は私の拳に自分の手をソッと重ねた。
あぁ、彼はこんなにも優しいのに何故こんな目に合わなきゃいけないんだ?
「A、あまり思い詰めるな……私は大丈夫、だからAはあの女をどうにかすることに集中してくれ」
「……分かった……そうだ、もしあの女が彼女をどうにかするとかいう脅しを受けてもスルーしてくれても構わないからな、てかスルーしろ……私は大丈夫だから」
「何言って……」
「その脅しのせいでお前が適正な判断が出来なくなるのがツラい……私なら本当に大丈夫だから」
私が真剣にそう言うと鉢屋は何か言いたげだったが渋々「分かった」と言った。
それを見とどけた私は満足げに笑った。
「フフフ……若いっていいものですねぇ」
「あ……しまった」
「……すみません、人目をはばからずに」
お互いに新野先生がいることを忘れていた。
めっさ恥ずかしい。我ながらめっちゃ恥ずかしい。
見ると鉢屋も頬を赤く染めていた。
「いいですよ……良い物が見れましたし、コレが青春というものなんですね〜」
「いや、そんなにしみじみ言わんでください……余計に恥ずかしくなる」
「右に同じ」
「まぁ鉢屋、ゆっくり療養しろよ……新野先生、後お願いしますね」
「はい、分かりました」
私は新野先生と鉢屋に軽く挨拶して保健室を後にしそのまま家路へと足を進めた。
そうとうな時間がたったため外に出ると辺りは結構な暗さになっている。
いつもより神経をとがらせながら家路へと急ぐ。
どうやら今日も物好き共が私の追っかけをしているようだ。
私は出来るだけ人通りの多い道を小走りで進んでいく。
しかし人通りが多いのは電車に乗るまでで、家の最寄り駅に着くと辺りは一気に閑散としてしまう。
てか、リボーン君がいう元生徒とやらはいつ現れるんだ?
内心ビクビクしながら道を歩いていく。
「おいおい、大丈夫かよ?……昨日より数多くないか?何となくだけど」
私は小声でそう呟いた。
こうでも言ってないと心臓がはち切れそうなのだ。
自然と私の足取りは重くだけども速くなった。
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長月シキカ(プロフ) - ますしんさん» コメントありがとうございます！私もどちらも好きなのでつい書いてしまいました。苦手な方のほうが多いと思っていましたのでこのようなコメントをいただけて本当に嬉しく思います！これからも頑張りますね！ (2016年6月25日 19時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - まさかのリボーン！？ 驚きました！！どちらも好きなんです！更新頑張ってください！！ (2016年6月25日 19時) (レス) id: 9d35f6ecdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年6月22日 1時
