７５馬鹿 翁の優しさ ページ25
「A、今日の茶はちょいと奮発したんじゃ」
「……えぇ、美味しいです」
吉野先生に言われ学園長室に向かった私は今学園長と共に茶を飲んでいる。
しかし、いくら飲んでも味がしない。というか味わう余裕がないのだ。
「……A、どうしたんじゃ?いつもの元気が無いようじゃが」
「いえ、……ちょっと疲れが……大丈夫ですよ、すぐ元気になりますから」
私はそう答えた。
いや、そう答えるしかなかった。変に言って学園長達を巻きこむわけにはいかないからだ。
学園長は湯呑を手に取りお茶をすする。
「……この部屋はのぅ、他の部屋とは違い防音性に優れておるのじゃ」
「?」
学園長はいきなり脈略のない事を言いだしたため私は頭の上にはてなマークを浮かべる。
そんな私に学園長はニコと笑みを見せた。
「この部屋に入るためにはワシの指紋と虹彩の二つを認証させる必要がある、ワシが中におれば入れる事はたやすいがここ最近でワシの部屋に入っておるのはAと数人の教師のみ……そしてワシは朝必ずこの部屋に設置してある防犯カメラを確認しておる」
「……」
「そのカメラの映像にも不審な点はない……射得式杞玻がこの部屋に何かしたという形跡はない」
「!!学園長……その名前」
「ワシだって何もしていなかったわけじゃないからのぅ……もう一人で抱え込まんでもよいのじゃぞ」
学園長の優しい声色が私の胸の奥にスッと入り込んでいった。
その優しさはじわりじわりと私の心を包み込んでいく。私は自分の両目に熱が集まるのを感じた。
ボロボロと大粒の涙が私の頬とスーツのズボンを湿らせていく。
「よしよし、今は存分に泣きなさい……」
「うぅ…グズッ…も、だい…じょぶ……です…ズズッ……」
私はひとしきり涙を流し垂れてきた鼻水を盛大にすすって学園長を見据えた。
鼻水をすすりすぎて鼻に若干の痛みが走る。
「私はこの間、射得式杞玻のとんでもない独り言を聞きました……このボイスレコーダーに録音してありますのでどうかお聞きください」
私は懐に隠し持っていたボイスレコーダーを机の上に置き再生ボタンを押した。
部屋には昨日射得式令嬢が言っていたすべての独り言が流れ出すがものの数分もない独り言な為音声はすぐに途切れた。
「……何と言う事じゃ、射得式の娘がこんな恐ろしい事を企んでおったとは」
「私は今、射得式会社のおかしな鐘の流れを並盛にいる最強の風紀委員とある不思議な子供達に情報を集めて貰ってます」
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長月シキカ(プロフ) - ますしんさん» コメントありがとうございます！私もどちらも好きなのでつい書いてしまいました。苦手な方のほうが多いと思っていましたのでこのようなコメントをいただけて本当に嬉しく思います！これからも頑張りますね！ (2016年6月25日 19時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - まさかのリボーン！？ 驚きました！！どちらも好きなんです！更新頑張ってください！！ (2016年6月25日 19時) (レス) id: 9d35f6ecdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年6月22日 1時
